28 ページ29
『……くうっ…』
数分前の和やかな空気は一変
眼前に迫っていたシャベルを寸分で避ける。
すぐそこで風を切る音が聞こえた。
模擬戦が始まって数分程、私は防戦一方であり体力がどんどん減っていく。非常に不利な状況が続いていた。
ルールは急所を抑えれば勝ちという簡単なもの。
だが、近接専門のシャオロンと遠距離専門の私とでは差がありすぎるということで、彼が抑えられる急所は首のみとなっている。
私は彼より身長が低い為、狙う急所に定めたのは
心臓。
「…っぶね！！」
姿勢を低くして一気に突き上げようとしたが失敗した。
これにより体制が崩された私は一気にシャオロンに組み伏せられた。
「はい。俺の勝ち。いやー最後は危なかったけど一気にいけてよかったわぁ。まだまだ特訓が必要そうやな。A」
返事をしようとしたが出来ない。疲れと緊張で息が上がってしまった。しゃあないなぁ、とシャオロンさんに姫抱きにされてベンチへ連れて行かれ休まされた。
『すみません。運んでもらっちゃって…重かったですよね。もう少し体力つけようと思います。』
「せやなぁ。女にしては大分体力あると思うけどここは軍やし何ならAは幹部やからな。もうちょい頑張って体力つけてこ。あと重くなかったから気にせんといて。』
笑いながら頭を撫でられ顔を覗き込まれた。柔らかい目だったが、次第に訝しげな目になっていく。
また何かしでかしたのだろうか。
『あの、シャオロンさん。私の顔をそんなに覗いてどうしたんですか？何かついてます？』
「いや、ちゃうねん。付いとるんやなくて、Aの目を見てる。お前の目って2色やったっけって思ってな。』
2色…？そんなことはないはずだが昨日も目に異常があったばかりだ。また変な目になっているかもしれない。
鏡を見て確認しようとしたが、生憎持っていなかった。なので、シャオロンさんの瞳に映る自分の目を見つめる。
____本当だ。また変わっている。昨日は虹色だったのに、今は虹色は虹色でも紫色が強くなっている。
「あーA？ちょっと近いんやけども
『シャオロンさん、お話の途中で申し訳ないのですが今から医務室に戻ってしんぺい神様に診てもらいます。本当にすみません。コネシマさんにもよろしくお伝え下さい。』
「あっ、ちょ！」
シャオロンの制止の声も聞かず私は走り出した。何かあった後では困るから。
(……ほんっとうにすみません。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未雨(プロフ) - エモンガさん» コメントありがとうございます。頑張って更新ペース上げてくのでこれからもよろしくお願いします！ (2023年2月26日 23時) (
レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
エモンガ - 初コメ失礼します！応援してます！投稿も頑張ってください！ (2023年2月25日 17時) (レス) @page30 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - 天天さん» コメントありがとうございます。是非是非夢主ちゃん描いてあげて下さい！これからもよろしくお願いします！ (2023年2月15日 23時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 未雨さんの書き方大好きです〜！夢主ちゃんの瞳の色も気になるところ！！良ければ描かせてもらってもよろしいでしょうか…？ (2023年2月15日 18時) (レス) @page21 id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未雨 | 作成日時：2023年1月24日 23時
