○ 4話 スイカミルク ページ5
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すっかり日が暮れて、部活が終わり、今はみんなで帰宅しているところだ。
…部活中、たびたび視線を感じて視線の方向を見ると及川先輩がこちらを真面目な顔でじっと見ていて、
私が見返すと及川先輩はヘラヘラした顔でこちらに手を振って、
岩泉先輩に「余所見すんな！」と言って頭をはたかれていた。
なんで、見ていたのだろうか。
いやもしかしたら好きで見ていたわけではなく、ただ単に、ぼーっとしていたらたまたまそこに私がいたのだろう。
そんなことを黙々と考えていると、いつものコンビニについた。
「A、今日は何にするか？」
岩泉先輩がふと私に声をかけてきた。
周りを見回すと、岩泉先輩以外はみんな中に入ってしまったようだ。
コンビニの中に目をやると後輩たちに手を引っ張られる及川先輩がいた。
「A？」
「あ…ああ、ごめんなさい。中入りましょう！」
なんだか少し申し訳ない気持ちになって、岩泉先輩の手を引っ張ってコンビニの中に入った。
「お、これ新商品だ」
「岩泉先輩って新商品に目がないですよね」
「いやだってなんか、気にならねえ？」
「うーん…私は新しいものに挑戦するのは苦手です」
「ふーん、なんで？」
「ハズレだったらいやですもん」
と言って、昔お父さんに買ってもらった新商品アイスの スイカミルク味 を思い出す。
おいしいものとおいしいものの組み合わせなんて絶対においしい！と思い、一口かじったらよくわからない微妙な味が口に広がって、
残りは全部お風呂で溶かしてしまった。
そんなことを思い出して、少し笑うと、
「なんかAが笑うところ数回目ぐらいだな、見るの」
「え、そうですか？」
「だって部活中は真面目だし、学校でも国見とかといる時しかあまり笑ってる感じじゃないし中学でも部活中しか会ったことないし…俺、笑えないやつだと思ってたよ」
「なっ…失礼ですね、私だって大笑いするときもありますよ！」
と言うと、岩泉先輩は笑ってそんなムキになったりもするんだなと言った。
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作者名：ゆき | 作成日時：2017年4月28日 7時
