○ 3話 3人 ページ4
「及川先輩…？！」
「時間時間！急がなきゃ！」
グイッと手が引っ張られて体育館までの道を走る。
たまにすれ違う人が振り返り、なんだか少しだけ恥ずかしくて…
繋いだ手がまた大きくて男の人の手って感じで…なんて考えてまた恥ずかしくなった。
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「なんとか間に合ってよかったね」
練習着に着替えた及川先輩が私の横にきて声をかけてきた。
「そもそもまだ10分前ですけど…」
「あれ？グラウンドの時計壊れてるのかな？」
ごめんね、と言ってまたニコッと笑う。
女の子たちの前では、作ってるのかな。
「あれ…先輩たち早いですね」
「英！英のくせに早いね」
と言って、私が笑うとイラッとしたみたいで私の頭を掴んでぐしゃぐしゃにしてきた。
「ちょっと…ごめんって！もう！英！」
「Aが悪いんだから」
軽く笑う。
あ、今日は機嫌いいなあ…
確かコンビニで新しく塩が2倍のキャラメルが出てたからかな…
「ちょっと、先輩も入れてよ」
そう言って及川先輩も私と英の間に割って入ってきた。
そういえば私たち3人同じ中学かあ…なんて考えてると、及川先輩も同じことを考えていたみたいで、
「もう4年目の付き合いになるんだから」
「そういえばそうですね、俺たちは部員って立場でお互い会話も今ほどではないけど少しはありましたよね」
「うん、俺たちすぐに引退したからね〜」
「Aと及川先輩は？」
「あ…私は上のマネージャーの先輩たちに仕事教わったり覚えるのに必死で業務連絡ぐらいしかないんだよね。」
そういうと、及川先輩はこちらを見て笑った。
「…でも今は、マネージャーはAちゃんだけだからね、頼りにしてるよ」
「…！」
まさか、そんなこと言われるとは思わなくて私は少し驚いた顔で英を見たら、
英もこちらを見て少し嬉しそうな顔をしてた。
「それにこれからは俺たちしばらくいれるから、たくさん話そうね」
「もちろんです！」
私も今できる精一杯の笑顔で2人に笑いかけた。
ちょうどそこで他の部員と猫又先生が入ってきて、私たちはそれぞれやるべきことをやるためにバラけた。
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作者名：ゆき | 作成日時：2017年4月28日 7時
