♪.・＊Keigo ページ4
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好きな人がいた
彼氏がいたっていいんだ
二番目だっていい
彼氏に飽きた日だけ、俺のところに来てくれれば
Aといる時間は、
許されるのか、許されないものなのか
わからなかったけど、それでも居心地が良かった
「景瑚、好き」
景「俺はAだけが好き」
お互いに好き合ってることに変わりはない
だからきっと、俺は幸せ
「じゃあね、」
景「うん、またね」
彼女を玄関で抱きしめ、見送った後
どうしようもない寂しい気持ちを
我慢するのが嫌いだった
.
もうすぐ、Aの誕生日
彼氏に怪しまれないものを贈ろう、
決めた後は、少しその日が楽しみだった
当日、
俺はAに連絡した
彼氏と過ごしているのだろう、
返事が返ってきたのは、その日の夜だった
「景瑚、話したいことがあるの」
そう連絡が来た時
良い話か、悪い話か
分からなくて怖かった
だけど、気がついたら俺は
プレゼントを持って家を飛び出していた
今なら、Aに会える気がしたから。
走っている途中、歩道橋を登ったところで
彼女から電話が入った
景「もしもし？A、いま、」
「景瑚、…っ」
景「なに…泣いてるの、」
「私ね、
結婚するの」
どうしてAが泣くの
俺だって、今すぐに泣き崩れたい
景「そう…おめでとう」
おめでとう、としか言えない自分が情けない
もう、会えないの？
声も聞けないの？
行き場を失ったプレゼントと、俺の気持ちは
一体どこに捨てればいい？
歩道橋の上から見上げる月は
悔しいくらいに綺麗だった
Aの、好きだった笑顔が重なり
涙が止まらない
届きそうで届かない、けど届くんじゃないか
俺は、柵に足をかけ
その月に向かって
遠くへ手を伸ばした
.
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作者名：Lynn | 作成日時：2022年1月27日 2時
