♪.・＊Takumi ページ18
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Aはいつも
ふらっと来て、ふらっと帰って行く
昨日も
さみしい、と急に連絡が来て
なかなか眠れない彼女を抱きしめて
朝気がついた時には腕の中からいなくなっていた
友達でも、恋人でもない俺は
Aにとってどんな存在？
考えたら終わりなのはわかってるけど
少しでも期待してもいいのか
彼女のネイル、
薬指だけに彩られたデザインでさえ
何か意味を持っているのではないか
ぐるぐると考えてはまた虚しくなる
.
いつかの、彼女と過ごした日の朝
俺は珍しく彼女よりも先に目が覚めた
いつだって朝は苦手だし
起きるのは辛いけど
隣に愛おしい寝顔があるだけで
一瞬で心が満たされる
「…拓実、おはよう
…もう起きてたの」
拓「なんか…目ぇ覚めた、
Aの寝顔見とった」
「やだ恥ずかしい、」
拓「写真でも撮っとけばよかった」
冗談まじりに言ったけど
心の中では本気で後悔してた
Aのどんな表情も
俺だけが独り占めしたいし
2人だけの思い出をもっともっと増やしたいのに。
気持ちを伝えて
関係性をはっきりさせるための勇気は
俺にはないんだ
俺は、弱いから。
「コーヒー、飲む？」
拓「ん、飲む」
コーヒーなんて苦手だ
けど、彼女が淹れてくれるなら関係ない
少しだけミルクを入れて混ぜる彼女の
細い指を見つめる
「今日は、ドライブにでも行かない？」
拓「ええよ」
いつか、もし彼女が急にいなくなっても
この時間もこれからの時間も忘れないように
何度も噛み締めて大切に思い出にするんだ
今日は、安全運転で
ゆっくりゆっくり走るから
だから、
Aの話をいっぱい聞かせて？
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作者名：Lynn | 作成日時：2022年1月27日 2時
