あなたのいる世界は (ページ9)

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その日から、

「あ、こんにちは」

「こんにちは、いつものにしてください」

「かしこまりました」

レジで、少しだけたわいもない会話をするようになった私たち

彼は店を出る時も

私を探すようなそぶりで店内をぐるりと見渡して

わざわざ会釈をしてくれる

…怖そうな顔だけど、いい人だったんだな

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一週間後

また、彼がいつもの時間に店に来ない日があった

お休みの日なのかな？

その時はそう思ったけど、この日は店が忙しく

夕方までそのこともすっかり忘れていた

日も沈みかけた頃

店のドアが開いた

「こんばんは〜、…あ」

「こんばんは、いつものください」

そこには、キャラメルラテの彼が立っていた

「今日はスーツでどうされたんですか？」

「週に一回、ミーティングで出社しなきゃ行けない日があって」

僕、スーツ嫌いなんすよね、とはにかむ彼

「すごく似合ってますよ、印象違いますね」

長身で細身、すらりと長い脚

いつもと違って整えられた髪の毛

爽やかで素敵だな、素直にそう思った

「ありがとうございます、(笑)」

持ち帰ってきた仕事があるので、と

彼は今日も店で作業をしていた

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