◯あなたのいる世界は ページ39
.
紗「彼が迎えに来てくれるんだっけ？」
「あ、そこの駅まで…」
紗「彼、大好きだね、Aのこと」
「…最初だけかもしれないですよ？(笑)」
紗「そりゃそうよ、だんだん慣れていくんだから、
お互いの存在に。
でも、やっぱりいつまでも彼のこと信じてあげなきゃね！
彼のこといっぱい知ってあげて、信じてあげてね」
「…そうですね、
もっと、知っていかなきゃ
知ってもらわなきゃ」
だからもっと、一緒にいたい。
早く、会いたい。
じゃあ、また！と
彼女と駅で別れ、彼を待つ
.
碧「A、」
「碧海」
碧「寒かったやろ、
ほら手、」
「ありがとう、来てくれて」
繋がれた手は、
いつのまにか彼のダウンのポケットの中へ
近づいた距離にドキドキしながら
帰りの道を2人で歩いた
.
碧「んじゃあな、
あったかくして」
「うん、ありがとう
碧海もね」
私の家の玄関先で、別れる私たち
碧「ん、おいで」
どうせまた明日も会うのに、
少し寂しそうな彼は
私に向けて両腕を広げた
するとすぐに、
ダウンの中に吸い込まれるように抱きしめられる
この幸せが、ずっと続けば良いのに。
碧「…ずっと、ここにおるよ
どこにも行かへん、信じて」
「…え、？」
私の心を読んだかのような彼の言葉に驚いて、
ふと彼の顔を見上げると
「…！」
そのまま、静かに口付けられた
碧「…なんや、その顔」
「びっくりした、」
碧「まぬけな顔やで」
「ねえ！」
こんなにも美しくて
綺麗な色だったなんて、知らなかった
あなたのいる世界が。
fin.
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作者名：Lynn | 作成日時：2021年12月28日 2時
