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碧「僕が行きたいとこに付き合ってもらっちゃった」
「いいんです全然」
着いたのは、和食屋さん
碧「SNSで見て、割と近くにあるやん、てなって」
「私も、知らなかった」
碧「好きですか?こういうお店」
「好きです、洋食より和食派なんです」
碧「ならよかった、」
店内は落ち着いた雰囲気で
沈黙の時間がやけに長く感じた
だけど気まずさなどはなく
会話のテンポも心地よく感じた
.
碧「てか、敬語やめません?」
なんか堅苦しいし、
あと碧海さんて呼ばれるのも嫌や、と言う彼
「…そうですね、…あ」
碧「あ(笑)」
「…うん、」
碧「そうしよ?Aちゃん」
碧海くんのペースに
のまれっぱなしだなあ、私
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碧「Aちゃんは、なんでこの仕事しとるん?」
「えっとね…」
私を知ろうとしてくれている碧海くんの気持ちが嬉しい
けど、
…色々ありまして、ね
でも、その色々を碧海くんに話す気には
今はなれなくて
「前は会社員してたんだけど、
自由に生きたくなっちゃったの、好きなことをして」
碧「そうなんや、なんかかっこいいな
それにお洒落やし、カフェが似合ってる」
切長の目を伏せてはにかむ笑顔が、優しい
碧海くんに言ったことは嘘じゃない
もともと人のために働くことが好きだし
カフェも好き
好きじゃなかったら、こんなに仕事に夢中になれていない
いつか、思い出として全てを話せる日が来たらいいんだけど
もう大丈夫だと思っていたけど
いざ碧海くんに聞かれて気づいた
まだ、完全に消化はできてないんだな、と。
それに、優しい彼に
私の過去の話を聞いてもらうのも気が引けた
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作者名:Lynn | 作成日時:2021年12月28日 2時