日常を、あなたと (ページ47)

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✳︎✳︎✳︎ Shion ページ47

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思えば、Aと初めて話したきっかけも

Aの体調不良やったな、

Aと一緒に暮らす前までは、

電車通勤だった俺

いつも同じ時間、

同じドアから乗って

同じ車両の空いてる席に座ってた

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たまたまイヤホンを忘れた日

いつもはシャットアウトして下を向いてたけど

改めて周りを見渡すと

ほんといろんな人間おるな〜、

なんて、呑気に思ってた

そして、気づいた

Aの存在に。

偶然イヤホンを家に忘れた日から彼女がよく視界に映る

次の日も、また次の日も

毎日、俺と同じように

決まった車両、

空いている席があるときも

いつも同じところに立っている女性が、Aやった

まあ、俺みたいにマイルールある人も居るよな、

なんて思いながら、その日もいつものように

空いてる席に座っていた

そしたら、突然

彼女がしゃがみ込んだ

え、大丈夫か…？

こういう時って周りの人は冷たいもんだ

彼女に誰も声をかけたりしない

…とりあえず、次の駅で一緒に降りてみる、か？

初めての状況に戸惑いながらも

汐「あの、大丈夫すか？」

「…すみません…、貧血でちょっと、」

声をかけると、顔を上げた彼女

顔は確かに真っ青で

1人ではどうしようもなさそうだ

汐「次の駅で、一旦降りましょ」

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彼女を支え、電車を降りる

汐「すみません、車椅子貸してください」

駅員に頼み、

しばらくすると車椅子に乗せられ彼女は救護室へ運ばれた

「あの、ほんとにすみません…

いつもは少し横になると治るので、

ちょっと休んでから行きます、」

汐「いえ、じゃあ俺はこれで」

「あのっ…、失礼ですが、」

横になったまま俺を呼び止める彼女

「いつも、同じ車両に乗られてますよね…？

次会ったとき、お礼させてください…

お名前伺ってもいいですか？」

汐「いいっすよそんなん、

俺は鶴房っていいます、じゃあ、また。

お大事にしてください」

ファミレスのウェイティングボードにすら

鶴房なんて書いたことない

いつも佐藤ですとか適当なこと言ってる俺が

ほぼ初めましての相手に本名を名乗った

というか、ぽろっと口から出たのが

不思議で、可笑しかった

じゃあ、また。

もう一度、心の中でそう呟いた

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