✳︎✳︎✳︎ Sukai ページ43
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高校を卒業してすぐに就職した俺
5年目にして初めて、転勤でここに越してきた
周りには知り合いもいないし
職場と家を往復する毎日
変わり映えのない日々だった
.
ある日、いつものように
仕事前に寄るコンビニで、昼ご飯を選びレジに並んでいた
俺の一つ前に並んでいた女性が
財布を出そうと、バッグに手を入れる
さっきからずっとバッグを探っているようだけど、
どうやら財布が見つからないようだ
…めっちゃ焦ってる
「あのこれ…戻してもらっても、碧「会計、一緒にして下さい」
驚いた顔でこちらを見る彼女
「いやいや！申し訳ないです」
碧「後ろ、並んでるんで、とりあえず」
朝の通勤ラッシュの時間帯
出勤前の人たちがずらりと並んでいる
そのまま会計を済ませ、外に出る
「申し訳ありません！見ず知らずの方にご迷惑を…
あの！お金は必ずお返しします」
碧「いいっすよ全然、気にせんといて下さい」
「いやいや！本当に申し訳ないので…
今日中に、必ずお返ししたいので
連絡先を教えていただけませんか？」
財布、家にあるので
仕事終わったら取りに行ってきます！
教えていただいた連絡先も、お返しした場で消去しますから！
俺が何度も、大丈夫だと伝えても一向に引き下がらない彼女
出勤前だし、お互いに時間もない
碧「わかりました…じゃあ」
結局俺が折れて、連絡先を交換した
画面に出てくる、A、というプロフィール
「本当、すみませんでした。
碧海さん…じゃあ、また、後ほどよろしくお願いします」
深々とお辞儀をして、走って去っていた彼女
今日一日、財布ないのしんどいよな
…てか、見ず知らずの人のピンチ救って、心配までして
何してん俺
.
仕事終わり、彼女から連絡が入っていて
朝のコンビニから一番近い駅で待ち合わせすることになった
「碧海さん、お疲れ様です！
あのこれ、お借りしてた…」
碧「なんかすんません、ご丁寧に」
「こちらこそです…
じゃあ、ここで連絡先消させてください」
俺に画面を見せ、連絡先を消そうとする彼女
碧「別に消さんくても、いいっすよ
友達になりません？よかったら
これもなんかの縁ってことで」
変わり映えしない日々が
この日から、少しだけ明るくなった
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作者名：Lynn | 作成日時：2021年10月24日 1時
