日常を、あなたと (ページ26)

今日:21 hit、昨日:52 hit、合計:148,745 hit

✳︎✳︎ Keigo ページ26

.

【A〜今日会社の飲み会になった、ご飯いらないや】

夜ご飯を作ろうと、野菜の下ごしらえをしていると

景瑚からメッセージが届く。

微妙なタイミング…

まあでも、仕事の付き合いもあるだろうしね

私だって急遽飲み会なんてこと全然あるし

用意しちゃった野菜はそのまま味付けて

明日のお弁当のおかずにまわそう

景瑚がいないと決まった瞬間、

ご飯を食べるという行為がなんだかめんどくさくなって

キリのいいところで料理を終わらせ、

テレビを見ながらおかずだけをつまむことにした

.

撮り溜めてたドラマを見終わり、

時計を見ると、そろそろ23時を指そうとしていた

景瑚、遅いなあ…、

ちゃんと電車乗れたかな

そうぼんやりと考えていると、

【お迎え来れない？23時過ぎに××駅着く】

うちから歩いて15分の駅が最寄り

だからいつもは歩いて駅まで向かう彼

…しょうがないな、

お風呂入ってたら行かなかったけど、特別に迎えに行ってあげよう

コンビニで高いアイスでも買ってもらえればそれでいい

車のエンジンをかけ、駅に向かう

ロータリーに着くとすぐ

暗がりに1本立った電灯の下に、
長身の彼がすらりと立っているのが見えた

私を見つけると、楽しそうにふにゃりと笑い

ルンルンと音がなりそうな足取りでこちらへ向かってくる

景「A、ありがとお〜」

「おかえり景瑚、特別だからね？

お礼にコンビニでアイス買って」

任せなさい〜、と私の頭を雑に撫でる景瑚

ふわっと香る、居酒屋特有のタバコの匂いに混じり、

ほんのりと、ローズの香水の香り

…景瑚の香水とは、違う匂い。

女性といたの？

香水の香りが移るほど、近い距離で？

こんなに夜遅くまで？

…まただ。景瑚にもやもやしてしまう

景「どこのコンビニ行く？」

「…いいや、

なんか、食べたくなくなっちゃった急に」

景「え〜〜もう、気分屋さんなんだからあ」

私のもやもやした気持ちには一切気づいてない様子の彼

…私がどんな気持ちでいるかなんて、

超能力者じゃないんだから

彼にきちんと伝えないとわかるわけない。

でも。

「もういいの。帰ろ」

今日も、素直になれない。

.