3 ページ3
.
不確定な未来なのに、カルマくんの言葉は真っ直ぐと胸に入ってきた。
自信を持って言う彼のおかげで不思議と不安が消えて頬が緩む。
「 パフェのアイス溶けちゃったね 」
「 ほんとだよ、Aが沈んだ顔してるから 」
「 そんなに沈んでた？ 」
「 ずーんって効果音つきそうだった 」
「 嘘だぁ 」
そんなに落ち込んでいた覚えはないけれど。
でも今はすっかり不安が消え去っている。
カルマくんの手が、声が、言葉が不安を拭い去ってくれた。
まるで魔法のように。
「 カルマくんは魔法使いだね 」
「 悪い方の？ 」
「 …似合うのはそっちかな 」
ぐつぐつと変な色した液体の入った鍋をニヤニヤしながらかき混ぜてるのが浮かぶ。
…うん、そっちの方がしっくりくる。
温くなったあんみつを口に運ぶ。
すると見ているだけで胸焼けしそうなパフェを食べていたカルマくんがこちらにクリームが乗ったスプーンを向けた。
「 …なにそのスプーン 」
「 さっき貰ったお礼 」
「 いやいらないって 」
「 良いから良いから。一口食べてみ 」
あーん、とぐいぐいスプーンを押し付けられ仕方なく口を開く。
側から見たらバカップルだなと思いながら口に広がったのもバカみたいに甘さ。
「 どう？ 」
「 …甘い 」
「 そっかそっか 」
私の返答に何故か満足気に頷くカルマくん。
そしてふと思い出したように自分の荷物を漁り始めた。
「 何してるの？ 」
「 んー……はい、これ 」
そう言って紙袋から何かを取り出すとテーブルの上にそっと置いた。
光に照らされたそれを見て、目を見開く。
「 これ…ブリザードフラワー？ 」
「 そ、死神から花買ったときキラキラした目で見てたから。あげる 」
赤を基調とした可憐な花々。
しかも生花と違い、その美しさは長く保たれる。
「 どうせあげるなら長く持った方がいいっしょ。どう？喜んでくれた？ 」
「 …すごく嬉しい、ありがとう 」
緩む頬を抑えきれずそう言うと、カルマくんも嬉しそうに笑って。
どこかカルマくんを思わせるその赤い花々を見つめていると、彼はそれと、と呟き手が伸びてきて。
「 さっきからクリームついてるよ 」
そう言って、口の端のそれを拭い取った。
思わず赤くなる頬を押さえて最大限の距離を取る。
カルマくんはそれを見てニヤニヤと笑っていて。
あぁ、なんて甘ったるい時間。
けれど何故か、
( …嫌じゃ、ないかも )
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 666人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏(プロフ) - 雪花さん» そうなんです！お互いが意識せずに言っててくれたらなぁなんて考えながら書いてました笑 これからも頑張ります！ (2019年6月5日 23時) (
レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
雪花(プロフ) - 月が綺麗だね、というのは夏目漱石でしょうか？漸く夢主ちゃんが自分の感情に気付いてくれてとても嬉しいです(*^^*)いつも楽しく読ませていただいてます！更新頑張ってください！ (2019年6月5日 15時) (レス) id: 61884d00c4 (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - えみさん» 初めまして！とても嬉しいお言葉ありがとうございます！なるべく沢山更新できるよう頑張ります！ (2019年6月4日 16時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて好きです！！続きが楽しみです＾＾無理のない範囲で更新がんばってください！ (2019年6月3日 19時) (レス) id: 5b761d589a (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 宵の桜吹雪さん» ありがとうございます！ゆっくりになってしまい申し訳ないです、頑張ります！ (2019年5月5日 10時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏 | 作成日時：2019年3月24日 22時
