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窓の外を眺めながら、横目で渋い顔をするAを見やる。
空はこんなに晴れて蒼く、葉も色づき始めて綺麗だというのに、彼女は何がそんなに不満なのだろうか。
ゆっくりと手を伸ばし柔らかな髪に指を通す。
すると驚いたように彼女の瞳がこちらを向いた。
「 どうしたの？ 」
「 Aがなんか渋い顔してたから 」
そう言えば微かに目を伏せた。
睫毛が揺れて陰を落とす。
そしてAが何か口を開こうとしたとき、タイミング悪く店員が来て注文していたパフェとフルーツあんみつを置いていった。
「 …カルマくんのそれ甘ったるそう 」
「 そう？ 」
クリームたっぷりのパフェを見つめて苦笑するA。
彼女はわりと甘ったるいものが苦手だ。
さっぱりした甘さは好むけれど、例えばこのパフェのようなクリームたっぷりのものは胸焼けがするらしい。
「 食べてみる？ 」
「 いらない 」
「 じゃあAのそれ一口ちょうだい 」
じゃあの遣い方おかしくないか、と呟きながらも掬って差し出してくる。
そのまま口に含めば柑橘の爽やかな甘みが口に広がった。
「 美味しい？ 」
「 ん、美味しい 」
そう言えばふわりと笑った。
「 来れて良かったよね、一時はどうなるかと思ったけど 」
「 まあね 」
あの日ついた頬の傷は癒えかけている。
肌に感じた圧倒的な強さ。
望みは捨てずにいたけれど、それでも殺せんせーと同じ空間に立った時には出ることが出来ないんじゃないかと思ってしまった。
「 でもさ 」
「 うん？ 」
「 私たちが抵抗したとはいえ、あんな人でも殺せなかったのに…3月までに殺せるのかな 」
先ほどと同じ様に瞳を伏せるため、その頭に手を置いた。
「 さっき考えてたのはその事？ 」
「 …そんな感じ。来年私たちは何してるのかなって 」
一緒にいるのかな。
最後に付け足された言葉は小さくて聞き逃してしまいそうだった。
頬が僅かに緩むのを感じて誤魔化す様に頭をくしゃりと撫でると不満そうな瞳と目があった。
「 真面目に言ってるのに 」
「 別に茶化してなんかないよ。可愛いなって思っただけ 」
「 …茶化してるじゃん 」
「 心配しなくても一緒にいるよ 」
来年もその先も。
例え道が違おうとも彼女の隣には俺がいて、俺の隣には彼女がいる。
Aが横にいないのなんて想像がつかない。
俺が断言すれば驚いた様に目を見開いて。
「 …そっか 」
そして、頬を緩めた。
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奏(プロフ) - 雪花さん» そうなんです！お互いが意識せずに言っててくれたらなぁなんて考えながら書いてました笑 これからも頑張ります！ (2019年6月5日 23時) (
レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
雪花(プロフ) - 月が綺麗だね、というのは夏目漱石でしょうか？漸く夢主ちゃんが自分の感情に気付いてくれてとても嬉しいです(*^^*)いつも楽しく読ませていただいてます！更新頑張ってください！ (2019年6月5日 15時) (レス) id: 61884d00c4 (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - えみさん» 初めまして！とても嬉しいお言葉ありがとうございます！なるべく沢山更新できるよう頑張ります！ (2019年6月4日 16時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて好きです！！続きが楽しみです＾＾無理のない範囲で更新がんばってください！ (2019年6月3日 19時) (レス) id: 5b761d589a (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 宵の桜吹雪さん» ありがとうございます！ゆっくりになってしまい申し訳ないです、頑張ります！ (2019年5月5日 10時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年3月24日 22時
