【暗殺教室】共依存 season2 (ページ40)

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返された答案用紙を握り潰す。
自分でも情けない結果が書かれたその紙がとても憎い。

「さすがにA組は強い。5教科総合は6位まで独占。E組の総合は竹林くんと片岡さんの同点7位が最高でした」

ここにいれば、いやどこにいたとしても殺せんせーは来るとは思っていた。
だから聞こえてきたその声に振り返ることはしない。

「 …何が言いたいの？」
「恥ずかしいですねぇ～。『余裕で勝つ俺カッコいい』とか思ってたでしょ」

図星だった。
顔に熱が集まり、手に力がこもる。

「暗殺においても賭けにおいても、君は今回何の戦略にもなれなかった。
わかりましたか？刃を研ぐのを怠った君は暗殺者じゃない。錆びた刃を自慢げに掲げたただのガキです」
「 ……チッ」

舌打ちをして殺せんせーの手を払いのける。
殺せんせーの言っていることは紛れも無い事実だ。
だからこそ、悔しい。

逃げるように歩みを進めた先、木の幹に寄りかかる彼女の姿を見つけた。

「 …A 」
「いないから心配したよ」

サボる？どうする？なんて俺の顔を覗き込んでくる彼女はそういえば病み上がりだったか。
自然と小さな額に伸びた手に、Aは不思議そうな顔をする。

「カルマくん？」
「 …熱、ないの」
「ないよもう、完治しましたー」

戯けて見せる、いつも通りの彼女に強張っていた顔が少しずつ力が抜けていくのを感じる。

知っていたのだ、彼女が俺の心配をしてたことくらい。
授業中にチラチラと送られてくる視線や言動に気付いてはいた。
けれどわかってて無視をした。
今思えばなんてくだらない、そして情けない。

「 A 」
「んー？」
「帰り、甘いもの食べに行こうか」

駅前のお店気になってたでしょ、と言えばその瞳はキラキラと輝く。
子供みたいなあどけない表情をして嬉しそうにする彼女は、今の俺よりは大人だ。
責めることもなく、何を聞いてくるわけでもない。
ただいつも通りに振舞ってくれ、いつも通りの笑顔を見せてくれる。
それが救いだった。

( 俺はまだまだ未熟なのか )

殺せんせーの言葉の意味とAの振る舞いが違った形で教えてくれた。
少し前、彼女を守れるようにだなんて思っていたけれどまだ理想には遠いな、これじゃ。

「教室戻ろ？」

とりあえず今は、笑いかけてくれる彼女の優しさに甘えていたい。
弱いな、俺も。

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