【暗殺教室】共依存 season2 (ページ36)

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「浅野くんの笑顔って胡散臭いよね」

私が彼にそう言い切ったのは、1年生の冬。
手が悴んでくる寒さが間近に迫っている寒空の下、私は手を擦り合わせながら浅野くんと対峙していて。

「 …どういうことかな？」
「ほら、それだって」

私が胡散臭いと言った笑顔をまた貼り付けるから思わず指摘する。
すると一瞬彼の顔が歪んだ。

事の発端は、数分前。
午後の授業が怠くて無断で帰ろうとしていたところを彼に捕まった。
クラスは違えど知っている、それはどうやら向こうも同じだったらしい。
笑顔でサボりはいけないと言う彼に思わず前から思っていた事を口にしてしまったのだった。

「 …僕からすれば君の笑顔も充分嘘くさいけど」
「これは作ってるもん。そりゃ嘘くさいよ」

反撃のつもりだったのかもしれない。
こともなげに返せば浅野くんの顔は面白くなさそうになる。
そしてその口から溜息が漏れた。

「君のことは噂では聞いていたけれど、実際に会えば数倍酷いな」
「酷いってどう言う意味かな浅野クン」
「遠慮がないというか自分の立場をわきまえていない」

どんな噂が流されてんだ、と思わずムッとするも彼に乗せられる気なんて更々ないためまたすぐに笑顔を作る。

「その立場っていうのは浅野くんが私より偉いみたいに聞こえるんだけど」
「そう聞こえるのなら耳は正常だな」

フッと鼻で笑う彼に、その鼻をへし折りたい衝動が湧いてくる。
が、それを抑えて代わりにその胸倉をぐいっと引っ張った。

「あのねぇ、頭の固い浅野くんに教えてあげるけど。たかが中学生で、しかも同い年に偉いもクソもないの、わかる？
大体そうやって嘘くさい笑顔貼り付けて人を見下してたら信頼してもらえる友達がいなくなってろくでもない人ばっかり残るよ」

言葉が結構荒くなったのは言い終わってから気がついた。
これは怒るかな、そしたら厄介だななんて思っていれば予想に反して彼は先程と同様嘘くさい笑みを貼り付けたまま。

「じゃあ君には信頼してくれてると断言できる友達はいるのか？」
「いるよ」

頭に浮かんできたのは赤髪の彼。
浅野くんの質問に即答すれば、その瞳は少し驚いたように見開かれて。

「ーーー離してくれないか」
「え？…あぁ、ごめん」

唐突な要求に一瞬考え手を離す。
彼は襟元を正すと、私にくるりと背を向けて

「変わった奴だな」

そう呟いて私から遠ざかっていった。

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