【暗殺教室】共依存 season2 (ページ31)

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「良かったね、成功して」

岩場の上から破裂しそうなくらいに膨らんだ殺せんせーの頭を見ながらそう言う。
すると彼はまあねぇなんて小さく呟いて。

「ま、これで寺坂は汚名返上出来たんじゃない？」
「そうだね。触手をまともに喰らうなんて普通は無理だ」

カルマくんの機転が利いた作戦も勿論必要だった。
けれど今回は、寺坂くんという実行力がある人がいたからこそ成し得たのだ。
下の方で原さんに怒られている寺坂くんを見て、カルマくんがしゃがみこむ。

「あーあ、ほんと無神経だよな寺坂は。そんなんだから人の手の平で転がされんだよ」
「うるせーカルマ‼テメー高い所から見てんじゃねー‼ 」
「ぶッ」

なんと。
隣にいた彼が一瞬のうちに寺坂くんの手によって水の中に引きずり込まれた。

「はぁァ⁉何すんだよ上司に向かってッ」
「誰が上司だ‼触手を生身で受けさせるイカれた上司がどこにいる‼
大体テメーはサボリ魔のくせにオイシイ場面は持って行きやがって‼ 」
「あーそれ私も思ってた」
「この機会に泥水もたっぷり飲ませようか」

いつのまにか囲まれたカルマくんは水の中に突っ込まれていて。
普段見ない彼がやられている光景にケラケラ笑っていると、中村さんと目が合ってしまった。
まずい、と思うもすでに彼女は悪戯な表情をしている。

「あれ、Aさん。何笑ってるのかな？」
「 …怖いよ中村さん」
「 Aだけ水に浸からないとか無しだし」

伸びてきた手が私の腕を掴み幾分か前のカルマくんのように引きずり込まれる。
水飛沫が上がって身体中がびしょ濡れになるも、以前のような水への恐怖心はそれほど無くなっていて。
顔を手で拭いながら以前ニヤニヤをやめない中村さんに水を掬って掛ける。

「っちょ、なにすんの！」
「仕返し」

あぁ、なんか。
本校舎では絶対に味わうことが出来なかった空間がここにあって。
強者だと人を見下して籠に入れられた鳥のように過ごすよりも、弱者であろうとありのままに自分らしく過ごすことができるこの教室の方が、私には合っている。

殺せんせーが嬉しそうにこちらを見ている中、そんなことを考えた、ある放課後。

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