【暗殺教室】共依存 season2 (ページ22)

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皆が喜んで飛び込んで行く中、私はといえば岩場の上にしゃがんだまま。

実は、泳ぐことが苦手なのだ。
というか水に浸かること自体が怖いというか。
小さい頃に1度海で溺れかけたからというものトラウマになってしまったようで。
他の運動はこなせるけれど、水泳だけはからきしダメだ。

ただそんな状況を知ってる上で楽しむ人がいるわけで。

「まーだ入んないの？」
「 …うるさいよカルマくん」

そう、もちろん彼だ。
すいーっと簡単そうに私の足場の下まで泳いできてこちらを見上げる。
1、2年のときも彼は幾度となく私を水の中に連れ込もうとしてその度に私は激しく拒絶を示すのだけれども懲りない、というかそれを絶対楽しんでいる。

「ほらおいでよ」
「嫌だ」
「大丈夫だってちゃんと受け止めてあげる」

そう言いながら腕を広げる彼に私は横に首を振る。
というかさすがにお互い水着姿の状態で彼の胸に飛び込んで行くのは些かの躊躇いがあって。
しかも彼のことだ、受け止めたとしてもすぐに私を放ってしまうだろうし。
こういうことに関してはまるっきり信用のない彼の優しい声が今の私には悪魔の声に聞こえてくる。

「おいでって」
「だから嫌だって何回言えばーーーッ！」

眉を顰めながらカルマくんに拒否を示す言葉を紡ぎ終わる前に、誰かが後ろを走り抜けて。
そしてその人が持っていた何かが私の背中にぶつかった。
衝撃を感じ、次の瞬間私の身体はぐらりと前に傾いていて思わず目を瞑る。

「ッ‼ 」

一瞬のうちに身体全体に水が掛かる。
慌てて手脚を動かそうとしたとき、想像していなかった浮遊感があって。
そして、水の中でもわかる体温。

「危ないなぁ、もう」

耳元で声がして目を開けば、そこには濡れた赤髪と肩。
大丈夫？と声がして、ようやく状態を理解した。
カルマくんが言葉通り受け止めてくれたらしい。

「カルマ、くん」
「ったく、プールサイドで走るなら周り見ろっての。おかげで怖い思いする奴がいるのにね」

身体が少し押し戻される感覚があり目が合った。
その瞳には先程のような悪戯な光は無くて。

「大丈夫？怖くない？」

そう言われて気付く。
怖いと思っていた水に浸かってる今、そこまで自分が怖がっていないことに。
そのため首を縦に振ると目の前の彼は安心したように笑った。

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