【暗殺教室】共依存 season2 (ページ19)

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鷹岡先生が撒き散らした砂が目を直撃する。
それで、油断した。
ガツンと脳が揺れて鈍い痛みが頬を襲う。
なんとか倒れるのは凌いだものの、口の端から生暖かいものが伝った。

「やっぱりさっきのはまぐれだったか？」

未だ血走り、けれど少し余裕を取り戻した声色で言う。
少し時間を置いて痛み出した頬に顔をしかめるも、拳がまた迫ってきて慌てて防御をとった……つもりだったが。

「がは…ッ」

顔を庇う、その動作が狙いだったらしい。
太い脚が勢いよく鳩尾に入り、臓器が一気に押し潰される感覚に息ができなくなり膝をつく。
それに追い討ちをかけるようにまた腹を蹴られた。

「おいおい、あんだけ啖呵切っててその程度か？
父ちゃんをがっかりさせないでくれよ」

まずい。
まともに防御も取れず迫り来る拳にせめてもとして顔を背け目を瞑る。
ーーーけれど予想していた痛みは来なくて。

「それ以上…生徒たちに手荒くするな。暴れたいなら俺が相手を務めてやる」

求めていた声が聞こえた。
目を開ければ烏間先生が鷹岡先生の腕を抑えていて。
良かった、そう思うと烏間先生の顔がこちらを向いた。

「大丈夫か渡辺さん」
「 …なんとか、って感じですね」

目も頬も腹も、ダメージが大きい。
けれど取り繕うように笑顔を浮かべる。
と、そこでぐらりと視界が歪んで。
最後に見たのは烏間先生の驚いた表情だった。

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ふわり、ふわりという感覚。
心地よいその感覚に頬を緩めると、私の名前を優しく呼ぶ声がする。

「ーーーA 」

重たい瞼を開ける。
目の前にはゆらゆらと揺れる、赤髪。

「 ……カルマくん」
「 …全く、これだから言ったのに」

少し呆れが滲んだ瞳が私を見つめる。
でも頭に置かれた手はそのまま緩く動き続けていて。
そうか、私鷹岡先生に殴られて…

「そうだ、鷹岡先生…ッ」
「はいはいすぐに起き上がらない」

起こしかけた身体をカルマくんに押し返される。
もう一度横になった身体が地味に痛んで顔をしかめた。

「 …鷹岡先生は」
「いなくなったみたいだよ。なんでも渚くんがやっつけたとかで」
「渚くんが？」

やっつけたなんて、想像つかないけれど。
彼が嘘を言うわけないし。
何よりあまり頭が回らない。

「カルマくん」
「ん？」
「心配した？」

私の唐突な質問に彼は一度目を見開いて。

「 …そりゃあね」

そして、ふっと笑った。

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