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勝負の時が来た。
全校生徒が本校舎で試験を受ける決まりのため、E組だけがアウェーでの戦いになる。
私たちの試験監督は腹の立つことに元担任である大野。
咳をしたりコツコツとわざとらしく音を鳴らして集中を乱そうとする。
ほんとに腐ってる人間だ。
「 E組だからってカンニングなどするんじゃないぞ。俺たち本校舎の教師がしっかり見張ってるからなー 」
意地汚い顔でそう言う大野に苛々してくるのはみんなも同じなようで。
必死に紙と向き合って集中しようとするも妨害が入る。
( …あー、もう苛々する )
何か投げつけてやろうかと考えながら紙面に向き合っていると、ふとその問題に見覚えがあった。
うちのテストのレベルは凶悪だ。
今までのE組なら悲鳴をあげて泣いてしまいそうなほどに。
でも、今は違う。
私たちには殺せんせーという最強の味方がいるのだ。
スラスラと文字が紙面を走る。
不得意だったわけではない、けどあの先生がいなければこんなにすんなりと解けたとは思えない。
もう大野の存在など気にならなくなっていた。
いや、あいつもいつもと違うE組の様子に戸惑っている。
それほどまでに、私たちは今までと違うのだ。
次の問題も。
その次も。
その次はーーー
( ーーーこれは )
これは少し、まずいことになったかもしれない。
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「 これは一体どういうことでしょうか。公平さを著しく欠くと感じましたが 」
烏間先生が携帯で本校舎の教師と話をしている。
私たちの前には返された答案たち。
それを見ているクラスの雰囲気はとても暗い。
そして何より殺せんせーも黒板の方を向き黙りこくっている。
「 伝達ミスなど覚えは無いし、そもそもどう考えても普通じゃない。
テスト2日前に…出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて 」
そう、試験問題は事前に知らされていた範囲とは大幅に異なっていた。
これもきっとあの理事長が考えたことだろう。
自分の教育のためならなんでもするあの化け物は、ラスボスの如く私たちの道を塞いだのだ。
みんなが落ち込むのも無理はない。
クラス全員50位が達成されなかったのは明らかで。
殺せんせーがこの教室を出て行ってしまうかもしれない。
そう考えているのは手に取るようにわかった。
ーーーでも、と思う。
私と、その隣の彼の答案は何か打開策になるかもしれない。
彼もどうやらそう考えていたようで、私と自分の答案を手に取り立ち上がった。
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奏(プロフ) - ななさん» わ、ありがとうございます! (2018年11月2日 11時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - オリジナル嬉しいです! (2018年11月1日 16時) (レス) id: 4c73f4e37a (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 妄想族同盟No.1さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの性格は思い切り自分好みなので…そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
妄想族同盟No.1(プロフ) - いつも更新ものすごく楽しみにしてます!とっても面白いです!夢主ちゃんの性格とか言葉遣いとか大好きです!これからも更新頑張って下さい! (2018年10月12日 10時) (レス) id: fd6c898520 (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - におさん» 全然文才なんてないですよ!頑張ります、ありがとうございます! (2018年9月25日 19時) (レス) id: 9670b195a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏 | 作成日時:2018年9月14日 22時