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退学してから
今までのコンビニのバイトでなんとかギリギリの生計を立て
ネットカフェで暮らす毎日を送っていた
店長に、退学のことを話したら
すごく申し訳なさそうに謝られて
また働くことを許してくれた
幸いなのかは分からないけれど
帰ってこない子供の捜索願を出すような親じゃないから
干渉されることもない生活だった
少しでもお金を稼ぎたくて
シフトは時間と法律が許す限り詰め込んだ
そうすると暮らしのリズムは必然的に
ネットカフェとバイト先の往復だけになる
ただ、余計なことを考えなくてもいい
その生活が俺には合っていた
けれど、どんなに忙しくても
あいつのことだけは忘れられなかった
いつも心の片隅にいて
微笑んでる
たぶんこれは
いつ会っても分かるように
また名前を呼べるように
俺の心が忘れてくれないんだと思う
でも、それが余計に会いたくさせる
『 会いたい 』
呟いたところで、返事が来るわけがない
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ある日曜日
あまりにも働く俺を見かねた店長が
( 明日は休みな )
とくれた久々の休み
けれど、休んでいると
色んなことが頭に浮かぶから
何かをしていたくて
久々に街に出た
オシャレな服や新しい本
たくさんのものに目を奪われるけど
それを買う余裕はない
見るだけ見て、帰ることにした
今日は朝から空がすごく綺麗だった
まるであの日と同じように
きっと夕陽もすごく綺麗に見えるはずだ
あの歩道橋から見える
ビル群の隙間に沈む夕陽は本当に絶景で
心が安らぐ
無性にそれが見たくなって
歩道橋に向かっていた
あの日以来
自分が死のうとしていたことを
思い出すのが少し怖くて通らないようにしていた
久々に来たそこには
あいつがいた
ちょうど夕陽は沈み出して
それに目が釘付けになっていた
静かに横に並んで
『 綺麗 ...... 』
透き通った声の呟きに
「 そうだね 」
やっと、会えたよ _______
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Luv(プロフ) - ハルさん» ありがとうございます! いつになるかはまだ分かりませんが、必ず戻ってきます!! (2018年9月8日 20時) (レス) id: 5d6877df27 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - すごく好きなお話だったので、また通知が来るのをずっと待ってます!お勉強頑張ってください! (2018年9月8日 19時) (レス) id: a070df98c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Luv | 作成日時:2018年6月18日 18時