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飛び出そうとした腕を後ろから掴まれる。
骨が軋みそうなくらい強く。
「…っ岸くん、やめよう？」
「何を？」
「なに、って…。いいよ、もう、わたしほんとに帰らなきゃ…、」
前の通りの向こうからタクシーが近づいてくるのが見える。
それを捕まえようとして上げた右手も岸くんに掴まれた。
「なんで？」
「なんで、って…今日はなんか岸くん、いつもと違う、し、…」
いつもと違うのはわたしのほう
こんなの、わたしじゃないのに、
君の前では大人の女でいたいのに、いつもそれは叶わない
「……Aさん、今日はもうなんも予定ないってさっき言ってた 」
「…っ、…そうだけど……」
「今日の夜は俺にくれるんじゃなかったんすか？」
「も、時間遅いし…今日の分は終わったの、！」
自分で言っておきながらめちゃくちゃだ。
でもどうすればいいのか分からない。
このままだと思ってもないことまで言ってしまいそうで、怖かった。
「そんなん、めちゃくちゃっすよ…俺はまだ、一緒に…「岸くんやめよう、！やっぱり変だよ、こんな、」
こんな私、私じゃないの
だからどうか、見ないでほしい
逃がしてほしい、
掴まれていた手を振りほどこうとした。
でも、
「 ………帰んないで。」
「っ…。」
なんで、って言ってしまうのを飲み込む。君を責めても仕方ない。私が言わせたようなものだ。
私だって帰りたいわけじゃないのに、どうして素直になれないんだろう
「…Aさん、やだ。帰らないで」
岸くんはもう一度、さっきよりもはっきりとした声で言った。
今までこんなに強い力で岸くんに触れられたことなんてなかった。
ほんとはこんなに力強かったんだ、なんて場違いなことが頭に浮かんでは消える。
目の前の岸くんは真剣そのもので、頑なで。
だからわたしも負けじと頑なになってしまう。
「…っ…わたしと…けんかしたいの…!?」
「…したいよ。」
「え？」
「Aさんとだったら、俺はなんだってしたいよ」
言葉と反比例して、瞳が揺れてる。
岸くんの手に込められていた力が、だんだん弱くなっていく。
それに比例して、熱くなっていた頭が氷水を浴びたみたいに冷えていった。
「……自分が、怖いの」
「……っ、」
「岸くんのこと…どんどん好きになってく自分が、怖いの。
これ以上、どうしたらいいか…分からない、」
ぽつん、ぽつん、と
心の中の言わないはずだった言葉が こぼれていく。
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くう(プロフ) - 最高です！ (2019年12月5日 23時) (
レス) id: e22c604d4b (このIDを非表示/違反報告)
kcnam(プロフ) - ステキです。もぅドキドキでその先もきになります(^^) (2019年4月15日 14時) (レス) id: 3a92bf89c4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - どのストーリーも、キュンキュンです。このまま、結婚へ繋がるのでしょうか？もっと続きが読んでみたいと思いました。よろしくお願いします。 (2019年3月28日 8時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - ヤバイ！(;゜0゜)めちゃめちゃ面白い！！岸くんカッコいい( ☆∀☆)これからも頑張って下さい♪ (2019年3月23日 8時) (レス) id: 1f2316b085 (このIDを非表示/違反報告)
琉叶(プロフ) - しろさん» しろさま、コメントありがとうございます！一気読みしてくださったとのことで光栄です、！あとがきまで丁寧に読んでくださり…しろさまのメッセージにも、岸くんや作品への愛が溢れております。次作でもぜひぜひお会いできるのを楽しみにしております、！ (2019年3月19日 2時) (レス) id: 2350b99a22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琉叶 | 作成日時：2019年3月12日 1時
