13.5 (期間限定公開中) ページ14
.
「待っ、て、Aさ…っ…！俺…ッもうヤバいから…ッ」
重なっていた岸くんの体がぎくりと強ばる。
慌てて離れていこうとするその首に、ぎゅっと手をのばして抱きついた。
汗ばんだ肌に必死に掴まると、焦った声が耳元で響く。
「ちょ…ッ…A、さん…ッ!!」
岸くんの余裕なんてまるでない、切羽詰まった声に胸が震えた。
わたしでこんなに熱くなってくれていると思うと頭がくらくらする。
「きしくん、…っすき、」
そう呟くと同時に、シーツを掴んでいた手が痛いくらい強く握られた。
ぎゅん、と胸が締め付けられて、それが岸くんにも伝染していく。
噛み付くように首筋に顔が埋められた直後、
岸くんが噛み殺して飲み込んだ、声と息。
「…ッ！んン……ーッ!!」
「っ、っ…！」
それを聞いたら、同時にふわ…と体が宙に浮いた。
遅れて、岸くんの肩に掴まった指の先までびりびりと電気が走る。
遠くのほう、脳の奥で、優しい雨の音がしていた。
-------
「は……………、」
かは、と肩口で吐き出された息がすごく熱い。
ゆるゆると弛緩する体がだるく重く、落ちていく。
ゆっくりと上体を起こした岸くんは、それからすぐにわたしの顔を覗き込んだ。
「っは……、Aさん…っ…大丈夫っ？！ごめん、！俺…っ」
「だいじょうぶ、だよ、…？わたしこそ、ごめんね、」
「…んーん、すっっっっげえキモチかった、びっくりした、」
「…………。////」
「えぇ…？今更赤くなるの？ちょっと遅くないすか……？(笑)」
汗に濡れて張り付いた前髪をかきあげながら、力なく笑う。
その姿が色っぽすぎて、目のやり場に困ってしまう。
恥ずかしがるところズレてるな…と自分でも分かっているけど、こればっかりは…
仕方ない、
岸くんがわるい、
わるい、わる、い……。//
心の中で言い聞かせて、ずり落ちていたシーツをたぐり寄せた。
肌に滞留したままだった熱が次第に引いていく。
一息つくと途端に急激な睡魔が襲ってきて、岸くんの腕を下に、それからわたしはすぐ意識を失ってしまった。
「………。」
「ぁ、Aさん、明日起きるの何時すか？目覚ましかけた？」
「……………ｽｰ……」
「ええぇ？うそぉ？…はっや(笑)」
その夜。
かわいい〜〜と頬や唇を触っては笑っていた、元気な誰かさんがいたことは知る由もない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くう(プロフ) - 最高です！ (2019年12月5日 23時) (
レス) id: e22c604d4b (このIDを非表示/違反報告)
kcnam(プロフ) - ステキです。もぅドキドキでその先もきになります(^^) (2019年4月15日 14時) (レス) id: 3a92bf89c4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - どのストーリーも、キュンキュンです。このまま、結婚へ繋がるのでしょうか？もっと続きが読んでみたいと思いました。よろしくお願いします。 (2019年3月28日 8時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - ヤバイ！(;゜0゜)めちゃめちゃ面白い！！岸くんカッコいい( ☆∀☆)これからも頑張って下さい♪ (2019年3月23日 8時) (レス) id: 1f2316b085 (このIDを非表示/違反報告)
琉叶(プロフ) - しろさん» しろさま、コメントありがとうございます！一気読みしてくださったとのことで光栄です、！あとがきまで丁寧に読んでくださり…しろさまのメッセージにも、岸くんや作品への愛が溢れております。次作でもぜひぜひお会いできるのを楽しみにしております、！ (2019年3月19日 2時) (レス) id: 2350b99a22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琉叶 | 作成日時：2019年3月12日 1時
