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90☆大人の役目 ページ40

「急がないと……!!所長たちが現場に着く前に……!」





「あれ、Aじゃん。
真面目な顔してどうした?」






LUNAを出て走り出そうとしたAを、
アキノリのその声が止めた。





「アキノリ!大変!妖怪が、
悪の妖怪が駅に現れたって!」




「なに!?あの(まさる)ってヤツか!」





アキノリは顔をしかめる。





「たぶん。だから急いで現場に行って、止めないと……!!所長や須賀さんが来る前に……」





「オッサンと須賀って人は、今どこなんだ?」






アキノリが問うと、AはLUNAを見上げて言った。






「LUNAでトレーサーの準備をしてる。
たぶん、あと5分くらいで出発できるはず……」






「わかった!そっちはオレに任せろ!」





アキノリはグッと拳を握り、
Aの肩にポンと手を置く。





「え……?」




「2人はオレが足止めしとく!
お前は早く行ってあいつをやっつけろ!」





ニッと笑みを見せたアキノリを頼もしく思いながら、
Aは走り出した。





「あ、ありがとうアキノリ!」





そしてAは、さくら駅にやってきた。





「妖怪は……どこ!?」






Aが駅を歩き回って探すと、
西口を出たところにそいつはいた。





「仮面の幽霊」だ。






あの背の高さ、痩せた体型、猫背……間違いなく(まさる)だと、Aは直感的に思った。





よく見るとすぐそばに妖怪がついている。





仮面の幽霊とは、目元が黄色い仮面をつけ、カゲローという妖怪の能力で影を薄くしていた、勝本人のことだったのだ。








「妖怪たちよ!!駅をぶっ壊せ!」





すでに召喚されていた妖怪に勝が叫ぶ。
Aはすぐ彼に駆け寄った。






「やめなさい!!」





勝はAを見るとぎょっとし、
ずり下がった仮面を慌ててつけ直した。





「お前は、こないだの……!」




「どうしてもやめないのなら、
私の妖怪ウォッチで……!」





そのとき、






「Aさん!やめるんだ!」





西口に走ってきたのは、須賀だった。





「す、須賀さん……」




「ごめん、A!オッサンは止められたんだけど!」





続けてアキノリも走ってくる。
須賀は険しい顔でAに歩み寄り、






「子どもが戦うなんて、ダメだ!
戦うのは大人の役目だ!」






Aから妖怪ウォッチとアークを取り上げた。





「あぁ!!」

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作者名:惠里子 | 作成日時:2019年7月30日 19時

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