【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ39)

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89☆透明人間ページ39

それから１週間後。

ここはLUNA。

「いやぁ……それはちょっと難しいですよ」

「そこをなんとかなりませんかねぇ……」

何度「難しい」と言っても食い下がってくる所長に、
須賀はうんざりしてきていた。

「こんにちはー！」

「おお若園、いいところに来た。
君からも頼んでくれたまえ」

Aが入ってきた途端、所長は「しめた」と言わんばかりにAを手招きする。

「頼むって……何をです？」

「UMA捕獲用の秘密兵器を作りたいのだが、
ボクたちではどうしても手に入らない物があるのだ」

所長がそこまで言うと、
須賀は所長を説得するように大きな声で言った。

「だから、透明人間になれる薬なんて、
用意できません！」

「と、透明人間になれる薬!?」

Aが目を見開くと、
所長はうんうんとうなずいて説明し始める。

「透明になれれば、UMAに気づかれず、
そっと近づくことが出来るからな」

「それはそうですけど、そんな薬あるんですか？」

Aが首を傾げると、須賀はきっぱり言い切った。

「ありません！」

「嘘ばっかし……政府が密かに研究してて、
開発に成功したってうわさをネットで……」

所長がそこまで言うと、
須賀は驚いてガタッと立ち上がる。

「なんですかそれは！とんでもないデマです！」

「まったまたぁ……須賀ちゃん、
ボクにだけはホントのことを教えてちょうだいな」

須賀の肩を揉んで懇願する所長。
須賀はぎょっとし、半分キレたようにそれを振り払った。

「ホントもなにも、ないものはありません！」

「だよなぁ……」

Aがぼそりとそうつぶやいたとき、
ケータイの着信音が鳴った。

須賀はポケットからスマホを取り出す。

「はい、須賀です。

……………………。
……………………。

なんですって!?

はい、はい、わかりました！
直ちに現場へ急ぎます！」

「どうしました!?」

須賀が電話を切ると、
ただならぬ状況を察知したAが訊ねた。

「仮面の幽霊が、さくら駅に出現しました！」

「仮面の幽霊……つまり人型のUMAか!?
よし、準備が出来次第行きましょう!!

日美子くん、トレーサーの用意をしてくれ!!」

所長は立ち上がり、白衣を羽織って支度を始める。

「はい、所長！」

日美子がトレーサーを用意するのを見計らって、
Aはそっと扉を開け、

「先に行って、止めないと……!!」

LUNAを飛び出した。

「こ、こら、勝手に行くな!!」

「Aさん……!!」