【妖怪ウォッチ】月と星と太陽２ (ページ11)

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61☆持つべき人がページ11

邦子がカバンから取り出した物を見て、「えっ！」とAは後ずさった。

それは妖怪のアークだったからだ。

「このカードと一緒に落ちていたんですけど、伸也はこれをお守りのように、いつも大切に持っていたんです。

『小さい頃、大切な友だちにもらったんだ』って……」

Aの中で、疑問が確信へと変わる。

小さい頃の伸也さんが見ていたものって、
やっぱり……。

「そろそろ、あきらめ時なのかも……。
これ、Aさんにお譲りしますね」

邦子はそう言うと、
カードとアークをAに差し出した。

「な、何を言ってるんですか!?
う、受け取れませんよ！」

「いいんです……
持つべき人が、持っていた方がいい」

「そ、そんな……」

Aはぎこちない手つきで
カードとアークを受け取る。

「それじゃ……」

邦子はそう言い、
ゲームセンターから去っていった。

その寂しそうな背中を、
Aとトウマはしばらく黙って眺めていた。

手の中にあるカードとアークが、
Aの気持ちを暗くした。

　

　
しばらくして、トウマが口を開く。

「僕、調子に乗りすぎたかな……。
まいったな……。

悪いこと言っちゃったかな……」

Aはカードとアークを大切にカバンにしまうと、
思いに沈み、つぶやいた。

「２Dゾーン、ミラーゾーンの謎さえ解ければ……
鏡に吸い込まれる謎を……！」

うつむき、物思いにふけるAにトウマが言う。

「鏡に吸い込まれる？
それって、うんがい鏡みたいに？」

「え……？うんがい鏡って……何？」

トウマは「しまった」というように
手で口をおさえた。

Aがトウマの顔をしげしげと見つめると、
トウマは思いついたように話し出す。

「あ、アキノリが言ってたんだ。
うんがい鏡っていう妖怪がいるって。

うんがい鏡の力を使えば、どんなに離れた場所でも、
鏡の中を通って行き来できるって。

ほら、アキノリってよく変なこと言うから」

トウマの顔を見ながらAはつぶやいた。

「鏡の中を……行き来できる？」

「そう。べ、別に僕は
妖怪がいるなんて思ってないけど……。

アキノリによると、うんがい鏡の力で、妖怪が住むっていう『妖魔界』にも行ったり来たりできるらしいよ」

突拍子もないことを言うトウマに、
Aは目を丸くする。

まさかこんなところで妖怪の情報を得られるなんて
思ってもみなかった。