73☆解決の事実 ページ23
「ですけど、お役人さんなんて、こっちから見たら……」
「いつもの依頼人だと思ってください。
その方が我々もやりやすい」
と須賀は言った。
「調査依頼は、その……、
お国の組織からの……？」
と所長がおそるおそる訊ねると、
「ええ。仮面の幽霊事件を担当している、
私が所属するカウンターガイストからです」
と須賀は涼しい顔で答える。
「そ、そりゃすごい……」
と所長が感心しているところへ、
日美子が口を開いた。
「あのぅ……、
ですけど、なんで国を代表する超常現象調査機関が、
ウチにご依頼を？
もちろん、ありがたいですけど、
最近のウチは……」
日美子が言いにくそうにしていると、
所長が慌てて補足する。
「超常現象の解明が出来ずじまいばかりで……」
しかし須賀は、けろっとした顔で２人を見た。
「それは知ってます」
所長と日美子が「？」と顔を見合わせると、
部屋の隅に立っていたAが口を開く。
「じゃあ、どうしてです？」
須賀は振り向き、
Aの顔を見て目を丸くした。
「君は、さっきの……」
「ここで助手をやってる、
若園Aという者です」
「君のような子どもが……？」
須賀が所長の顔を見ると、
所長は慌てて取り繕う。
「ま、まあ、見ての通りの半人前ですから。
お気になさらずに」
「そうですか……。
失礼を承知で言わせていただきますが……、
我々はあなた方の能力というよりも、
事件そのものが結果として解決しているという事実に、
注目しているのです」
「解決の事実？
は、はて……？」
所長は心当たりがないというふうに首を傾げた。
するとAがこう言う。
「つまり、LUNAが引き受けた現象事件は、
解明こそされてはいないものの、
すべてが解決している？」
「ほう……いい理解力ですね。
よく分かってくれました」
「は、はい……」
急に褒められたAは緊張しつつも
少し照れたように頭を掻いた。
須賀は続けて話す。
「その通りです。
あなた方が依頼を受けた事件がどうなったのか、
我々は調べさせてもらいました。
電光石火時代カード消失事件は
あれ以来一度も起きず……。
乃亜という少女も
きちんと授業を受けるようになり、
消えた人々は、全員無事に戻ってきた……。
我々は、この結果に注目しているのです」
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作者名：惠里子 | 作成日時：2019年7月30日 19時
