水面下の策謀 ［レイ］ ページ10
真実を知った日から、私は今まで興味がなかった裁縫・医療・心理学の知識などをがむしゃらに詰め込んでいった。図書室に籠り始めたのもその頃からで、勘のいいレイは薄々察していたらしい。私も私で、レイは何か知ってると勘づいていた。確証は無かったが。
ーこれは、エマ達が真実を知る1年前のお話。
「レイは、このハウスの真実を知ってるよね？」
暗い図書室の中に、私の声だけが聞こえる。レイはその言葉を聞いても動じなかった。
「どうしてそう思う。」
私を少し嘲笑するようにレイは聞き返してくる。
「"出荷"を知ったら、皆はどう思うだろうね？。」
レイの問いには答えず、敢えて"出荷"という言葉を使う。レイの表情に綻びが表れる。
それはそうだ。だって、私は≪真実を知らない≫はずなのだから。
レイはツカツカと私に近づき、
「いつから知っている。どうして真実を知った。」
とぞっとするほど低い声で私に問い掛ける。長い前髪から覗く目はいつもより鋭い。
「4年前に出荷を見た。言っても皆は信じないし、あんな光景を見てほしくない。
…レイも知ってるんだね？真実を。」
「あぁ。」
思いの外、誘導が上手くいって少し安心した。
「…私は、役に立ちそうな本を探してた。そこで分かったんだけど、ここには脱獄に利用できそうな本が少ない。それに、全体的に本が古い。最新の本でも2015年のだった。」
「…俺はママの内通者だ。」
内通者…？スパイってこと？突然の情報に私は驚きを隠せなかった。レイは自嘲気味に笑う。
「そうだよ。最初から知ってた。ここは孤児院という名の"檻"だ。…俺は何人も何人も見捨ててきた。計画の為に！」
・・・レイは脱獄計画を進めてたんだ。たった1人でママの懐に潜り込んで…。
「そっか。辛かったよね。ずっとずっと1人で背負い込んで。…ありがとう。教えてくれて。」
そう優しくレイに言って抱きつく。レイの痛みは分からないけど、少しでも軽くなってればいい。
レイは無言で私を抱きしめ返す。
どれくらいその状態でいたか分からないけど、レイは私を離すと、
「ありがとう。…ここでの話はなかったことにする。いいな。」
と言う。私は頷いて、にっこりと笑う。
「うん。」
レイは満足そうに微笑み、図書室を出ていった。私は本棚に向かい、1冊の本を手に取る。
パラパラとめくり、何気なく蔵書票を見た。私は思わず目を見開く。
「…何？これ…。」
ーそこには、フクロウの絵と、謎の円が描かれていたのだ。
自由の翼を求めて［エマ]→←雨の日のコンサート・２ ［年長組］
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星花(プロフ) - Vermutさん» ありがとうございます！ その言葉に涙が出そうです。 また気が向いたら書くので、その時はよろしくお願いします！(´ω｀*) (2019年3月26日 14時) (
レス) id: 4d854995e2 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - 完結おめでとうございます！凄く面白い作品だったので、終わっちゃうのは寂しいです……。この作品に、沢山のものを貰いました。私は小説を書いて2年目になるのですが、この作品を見て、多くの事を学ばせて頂けました。本当にありがとうございました。 (2019年3月26日 14時) (レス) id: 6de8030682 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» コメントありがとうございます！ 早いですね！ 明日中には更新致しますので、お待ちくださいませ！ (2019年3月25日 22時) (レス) id: 72b922117a (このIDを非表示/違反報告)
ドラゴン - 次の問題も解けました!答え合わせ早く見たいです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: cddb962df9 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» わわっ！コメントありがとうございます！ 今続きを書いていますので、もうしばらくお待ちください･･･！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: 3bdc83d578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊星花＊ | 作成日時：2019年3月12日 13時
