雨の日のコンサート・２ ［年長組］ ページ9
エマの言葉に元気をもらった時に、ガチャッと部屋のドアが開いて、事の発端であるドンが入ってきた。その手にはどこかの部屋の鍵が握られている。
「ドン。何それ。」
私が尋ねると、ドンは高らかにこう言った。
「音楽室の許可、ママにもらったぜ！」
ドン以外はポカンとしている。そんなことも放っておいて、さらにドンは言う。
「コンサートの始まりだ！！」
ドンの突然の宣言の後、私達は半強制的に音楽室に連れていかれた。レイなんか本を片手に何かブツブツ言っている。
「ねえ。ドン。どういうこと？」
まだあまり理解が追い付いていないノーマンが、ドンに尋ねる。
「ノーマン、レイ、エマ！ルーナのピアノ、聞いた事ないだろ？」
最年長3人は顔を見合わせた後、頷いた。
「ルーナの演奏、すっげえ上手いんだぞ！」
ドンの言葉にギルダはうんうんと頷く。私は苦笑いしながら、
「買いかぶらないでよ…。」と呟くが、その言葉は雨音にかき消されてしまった。
「私、ルーナの演奏聴きたい！」
「確かに、僕らは聴いたことないね。聴いてみたいな。」
「レイも聴くんだからね！」
エマがレイにくぎを刺す。レイは諦めたように
「分かった分かった。」
と手をひらひらさせる。
私はピアノの前に座って、指を鍵盤に滑らせてみる。昔の感覚がまだ残っていることに少し安堵した。私は座っているみんなの前に立ち、うやうやしく一礼する。5人分の拍手が聞こえる。
シンと静まり返った音楽室に、力強くも美しい旋律が響き渡り、雨の音もかき消してしまう。
(懐かしいなぁ。ここら辺のテンポに苦戦してたんだっけ。その度にドンとギルダに励ましてもらって…。)
久しぶりに弾くピアノは、とても楽しい。心躍るとはこのことか。私は笑みを浮かべる。
曲が終わって、椅子から立ち上がると、5人だけでなくほかの子もパチパチと拍手をしてくれた。
ピアノの音は意外と響いてしまうらしい。ママまでいる。もしかしたら皆揃っちゃったのかな。
「ルーナすごい！」
「上手ー！」
「次これ弾いてー！」
手放しに褒めてくれる子、ちゃっかり次の曲をリクエストしてくれる子。私は笑いながら、
「ありがとう。次はこの曲ね！」
と言う。
その日、自由時間が終わるまで皆は音楽室にいた。ピアノの音に合わせて歌ったり、ピアノの音を聴きながら本を読んだりお話したりしていた。
その日から、"雨の日のコンサート"が始まった。
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もっと上手く書きたい…。(泣)
水面下の策謀 ［レイ］→←雨の日のコンサート・１ ［年長組］
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星花(プロフ) - Vermutさん» ありがとうございます！ その言葉に涙が出そうです。 また気が向いたら書くので、その時はよろしくお願いします！(´ω｀*) (2019年3月26日 14時) (
レス) id: 4d854995e2 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - 完結おめでとうございます！凄く面白い作品だったので、終わっちゃうのは寂しいです……。この作品に、沢山のものを貰いました。私は小説を書いて2年目になるのですが、この作品を見て、多くの事を学ばせて頂けました。本当にありがとうございました。 (2019年3月26日 14時) (レス) id: 6de8030682 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» コメントありがとうございます！ 早いですね！ 明日中には更新致しますので、お待ちくださいませ！ (2019年3月25日 22時) (レス) id: 72b922117a (このIDを非表示/違反報告)
ドラゴン - 次の問題も解けました!答え合わせ早く見たいです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: cddb962df9 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» わわっ！コメントありがとうございます！ 今続きを書いていますので、もうしばらくお待ちください･･･！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: 3bdc83d578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊星花＊ | 作成日時：2019年3月12日 13時
