星空観察とフルスコア組 ［レイver.］ ページ7
「おい。風邪引くぞ。バカ猿。」
下からの声にムッとして声の主を探した。大体、こんなことを言ってくるのはレイしかいないが。
「バカは風邪引かないって知ってた？」
そう言い返せば、レイは私をなだめるように
「まあまあ、そう怒るなって。」
と言ってくるが、声と表情で絶対面白がっていると分かった。
「ママから伝言。『9時には戻ってきてね。』だと。」
「了解。」
手元の懐中時計は８時30分を指している。この時計は2年前に誕生日プレゼントとしてママから貰ったものだ。肌身離さずに持ち歩いている。
・・・しかし、レイは伝言を伝え終わったのにどうしてハウスに戻らないのだろう。
「…どうしてハウスに戻らないの？」
そう問うと、レイは何も言わずに木の上に登ってくる。
「おーい。レイ、聞いてる？」
もう1度尋ねると、レイは私の隣まで来て
「9時に戻りゃいいんだろ。」
とだけ言った。
しばらくの間、何も会話はなかった。懐中時計をちらりと見たら、まだ5分しか経っていなかった。
「…そのノート、何が書いてあるんだ？」
「星座のこと。本の内容を写したの。」
レイの問いに答えながらノートを渡す。レイはノートをパラパラとめくりながら、
「本、持ってこりゃいいだろ。」
と呟く。
「私は嫌なの。ノートに写して軽量化したい。」
「1週間ずっと図書室に籠ってでも？」
私は答える代わりにこくんと頷く。
「もしも里親が見つかって外の世界に出れたなら、私はこのノートを持ってプラネタリウムっていう場所に行く。本当にあるかは分からないけど。」
「…そうか。」
レイはうつむいたまま私の話を聞いている。いつもとは違う、悲しそうな横顔に、私は心当たりがあった。
里子に出された子を送った次の日、レイはこんな表情をしている気がする。
(もしかしてレイは…。)
脳内で、ある仮説が出来上がる。だけど、確証はない。もしもこの仮説が正しければ、レイが何もしていないはずがない。何か水面下で行動している。
私は空を見上げて言葉を零す。
「でも、まだハウスにいたいな。やるべき事が残ってるし。」
懐中時計は9時5分前を指していた。私はレイに懐中時計を見せて、
「戻ろう。レイ。」
と優しく言った。
レイは頷き、ハウスに戻っていく。私もレイの後ろを小走りでついていった。
「ルーナ。」
その声に足を止めれば、レイは私の方を見た。
「本、また一緒に読むか。」
その声にはもうさっきの悲しさはなかった。
私は頷き、レイと共にハウスに戻った。
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星花(プロフ) - Vermutさん» ありがとうございます！ その言葉に涙が出そうです。 また気が向いたら書くので、その時はよろしくお願いします！(´ω｀*) (2019年3月26日 14時) (
レス) id: 4d854995e2 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - 完結おめでとうございます！凄く面白い作品だったので、終わっちゃうのは寂しいです……。この作品に、沢山のものを貰いました。私は小説を書いて2年目になるのですが、この作品を見て、多くの事を学ばせて頂けました。本当にありがとうございました。 (2019年3月26日 14時) (レス) id: 6de8030682 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» コメントありがとうございます！ 早いですね！ 明日中には更新致しますので、お待ちくださいませ！ (2019年3月25日 22時) (レス) id: 72b922117a (このIDを非表示/違反報告)
ドラゴン - 次の問題も解けました!答え合わせ早く見たいです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: cddb962df9 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» わわっ！コメントありがとうございます！ 今続きを書いていますので、もうしばらくお待ちください･･･！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: 3bdc83d578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊星花＊ | 作成日時：2019年3月12日 13時
