ピアノと憧れ ［ナット］ ページ30
今日は雨じゃないけど、何故かピアノが弾きたくなったので音楽室に足を運んだ。
音楽室に行く途中、切ないけど、どこか力強さが感じられるピアノの音が聞こえてきた。
そっと音楽室の扉を開ければ、ナットがピアノを弾いていた。
ナットが演奏し終わった時、私はパチパチと拍手をした。彼は私を見て目を丸くした。
「え。ルーナ、いつから居たの？」
「途中から。ついさっき来たばかりだよ。」
そう返せば、彼は私のところまで来て、バッと効果音が付きそうな勢いで頭を下げる。
「ピアノ、教えて下さい！」
「へっ？…いやいや待って。私、最近弾いてないから教えるのはちょっと…。」
そう言って断ろうとしたが、彼の強い眼差しに折れた。
「…分かったよ。でも、さっきの曲上手だったから、私が教える事なんて無いと思うな〜…。」
そう言っても、彼は首を横に振る。
「雨の日のコンサート、ずっと聴いてたんだ。…楽しみだった。最近ずっと練習してたんだけど、全然ルーナみたいに弾けないんだ。何が足りないんだって考えてみても分からないんだ。」
私は少し考え、ナットの目を見てきっぱりと言う。
「私みたいに、って考えてたらだめだと思う。自分の思うように、納得するまで練習してみれば？
きっと知らない内に、技術も表現力も身に付くよ。」
そこまで言って、一呼吸置く。私はナットの肩に手を置く。
「ありがとう。私を目標にしてくれて。ナットなら出来る。大丈夫。」
柔らかく微笑めば、ナットは強くうなずいた。彼の目はもう、弱気ではなかった。
「久し振りに、ルーナの演奏が聴きたいんだ。聴かせてくれない？」
ナットは昔のように、私にリクエストする。そうだ。ナットはいつもコンサートに来ては、リクエストしてくれた。懐かしく思って、昔のように返事をする。
「良いよ。コンサートの始まりだ！」
久しぶりにピアノと向かい合う。
「久しぶり。元気だった？」
そうピアノに話しかけて、鍵盤に指を置く。一瞬の静寂の後、鍵盤を十の指が駆け巡る。
3曲があっという間に感じられてしまうほど、夢中になった。
ナットの拍手に一礼して、椅子から立ち上がる。
「さ、ナットも弾いて！」
ナットは頷いて、ピアノを弾く。
力強く、明るくなる曲調と、寂しげで儚い曲調の2曲を上手く弾き分けられてる。
私は、大きな拍手をする。
それからしばらく、私達は心ゆくまでピアノを演奏した。
白黒の鍵盤から、色鮮やかな旋律が流れていく。
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星花(プロフ) - Vermutさん» ありがとうございます！ その言葉に涙が出そうです。 また気が向いたら書くので、その時はよろしくお願いします！(´ω｀*) (2019年3月26日 14時) (
レス) id: 4d854995e2 (このIDを非表示/違反報告)
Vermut(プロフ) - 完結おめでとうございます！凄く面白い作品だったので、終わっちゃうのは寂しいです……。この作品に、沢山のものを貰いました。私は小説を書いて2年目になるのですが、この作品を見て、多くの事を学ばせて頂けました。本当にありがとうございました。 (2019年3月26日 14時) (レス) id: 6de8030682 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» コメントありがとうございます！ 早いですね！ 明日中には更新致しますので、お待ちくださいませ！ (2019年3月25日 22時) (レス) id: 72b922117a (このIDを非表示/違反報告)
ドラゴン - 次の問題も解けました!答え合わせ早く見たいです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: cddb962df9 (このIDを非表示/違反報告)
星花(プロフ) - ドラゴンさん» わわっ！コメントありがとうございます！ 今続きを書いていますので、もうしばらくお待ちください･･･！ (2019年3月24日 22時) (レス) id: 3bdc83d578 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊星花＊ | 作成日時：2019年3月12日 13時
