検索窓
今日:45 hit、昨日:135 hit、合計:127,040 hit

12-10 ページ6






そのあと、結局荷物が届かなかったことを伝えたり同じバイト先のポアロのことを話したりしながら2人でご飯を食べて、お風呂に浸かった。


そして、お先にどうぞと譲られたお風呂上がり、ホカホカ湯気を纏いながらリビングへ戻ると、なぜだか安室さんに新しいスマートフォンを手渡された。

身に覚えのないソレだったが、どうやら安室さんの計らいらしい。
電話帳には“降谷”と“風見”、“安室”の3人だけ登録されていた。



初日に、夕食の席で「今までのことも関係も全てリセットして、ただの一般人として生きる」と心の内にあった想いを宣言したことを覚えての行動らしい。



「これを渡すからと言って、切りたくない縁を無理に切る必要はもちろん無いです。これからも交友を持ちたい人の連絡先は入れて使えばいい」



と安室さんは言ってくれた。




過ぎったのは赤井さんの顔だった。




現在そのスマホには赤井さんとコナンくん、蘭さんや毛利さん等、勘の鋭そうな人達以外の連絡先を移して使用している。


元々のスマホを破棄するのはどことなく憚れたので、今は電源を落として引き出しにしまってある。



そうしてその日は、昼に干していたふかふかの布団でそれぞれ就寝した。




安室さんは帰ってきてからずっとその日の終わりまで…私が安室さんのジャケットをハンガーにかけてクローゼットにしまっている時も、一緒にいただきますをしてご飯を食べた時も、お風呂が湧いていると伝えた瞬間も、珍しく破顔していた。

破顔して、そして注視して気づくか気づかないか程度に、眉間にキュッと力を入れていた。



意味深なその表情を1度ならず何度も見てしまえば、私の中にも焦りというか疑念というか。最終的には、良かれと思ってしたことだったけれど自分の生活スペースを乱されると嫌なタイプだったのかもしれない、と思い至り、寝る前に勝手に家事をしてしまったことへの謝罪をポロッと零した。

だけど、“ごめんなさい”の“い”をいい切る前に安室さんはカッと目を見開いて、私の両肩を勢いよく掴む。



何事かとうろたえる私を他所に、安室さんは力強く「そんなことありません!」と言い切るので勢いに押されてしまった。

ちゃんと許可を得るべきでした、と答えても、今度は言葉もなしにブンブンと首を横に振る。そんな子供みたいな仕草をするなんて、見たことのない姿だったので少し面白かったのは内緒だ。

12-11→←12-9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (485 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1606人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あまね(プロフ) - いっそのこと一妻多夫制度設けません???? (8月19日 18時) (レス) @page48 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - 面白いですね!続き楽しみにしてます!頑張って下さい!! (7月2日 12時) (レス) @page48 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!続きが気になりすぎます!! (2023年5月10日 5時) (レス) @page48 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
お話仕掛け人(プロフ) - ココナッツさん» お話楽しんでいただけて嬉しいです!感想もありがとうございます。これからの励みになります! (2023年5月4日 12時) (レス) id: 8b74387362 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 初コメ失礼します!ふるや違いで平凡とは言えない生活を送ることになった主人公ちゃん…物語の流れに引き込まれ一気読みしてきました笑 最高に大好きな物語です´`* これからも応援してます! (2023年4月28日 12時) (レス) @page42 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お話仕掛け人 | 作成日時:2022年8月10日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。