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「すばる、さん…」
しっかり目を合わせて彼女が落ち着くのを待っていると、瞳を揺らしながらポロッと名前を呟いた。
なぜ、今この状態で、その男の名前が出てくる。
「…Aさん、」
彼女の言葉を聞き漏らさず、沖矢昴が再度Aさんに呼びかけた。
「その、怪我…」
「なんてことありません。すみません、あなたを守りたかったのに…」
僕に向いていた視線が、ゆっくりと、また沖矢昴へと向けられた。
痛々しそうに顔を歪めながら、彼の血で染まった肩について訪ねた。沖矢昴は彼女に笑いかけてみせるが、どうにも痛ましい彼の状態。
「うっ、あぁ…ご、めんなさっ…ごめんなさい!ごめんなさい、っごめ、」
「…Aさん、」
「ごめんなさい、ごめっ、なさい…ごめんなさい…」
「今はもう話しかけない方がいい」
なんとか落ち着かせようとゆっくり近づいてくる沖矢昴の姿を見ながら、彼女が激しく謝罪を繰り返し始めたので、僕は手を伸ばしてその動きを制した。
「今の彼女には、あなたの言葉もあなたの姿も…その傷も。心を砕く要因でしかない」
Aさんの肩と膝裏に腕を回して、そのまま立ち上がる。
「彼女の心は僕がケアしますから、ご心配なく」
「…」
「あなたも傷が深いようだ。ちゃんと手当してもらった方がいい」
出血が酷そうな右肩と不健康そうな顔を見下ろしながらそれだけ言うと、奥から帰ってくるコナンくんを見つけて自分も倉庫の出口へと歩き出した。
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あまね(プロフ) - いっそのこと一妻多夫制度設けません???? (8月19日 18時) (レス) @page48 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - 面白いですね!続き楽しみにしてます!頑張って下さい!! (7月2日 12時) (レス) @page48 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!続きが気になりすぎます!! (2023年5月10日 5時) (レス) @page48 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
お話仕掛け人(プロフ) - ココナッツさん» お話楽しんでいただけて嬉しいです!感想もありがとうございます。これからの励みになります! (2023年5月4日 12時) (レス) id: 8b74387362 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 初コメ失礼します!ふるや違いで平凡とは言えない生活を送ることになった主人公ちゃん…物語の流れに引き込まれ一気読みしてきました笑 最高に大好きな物語です´`* これからも応援してます! (2023年4月28日 12時) (レス) @page42 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お話仕掛け人 | 作成日時:2022年8月10日 17時