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13-13 ページ37




大きな銃声と、身体への衝撃に思わず目が開いた。


体が傾いて地面へと倒れるが、それが銃弾によるものでは無いことは一瞬で分かった。少し視線を動かせば、私を取り押さえていた男ふたりが伸びて伏しているのが見えた。気を失っているだけのようだが、銃口を向けていた男もその周りの奴らも突然のことに戸惑いを隠せず、固まっている。


私はそうしてさ迷わせた視界の中に、あるはずの無い“色”を見つけて、ずっと感じていたはずの手首の痛みも頬の熱も一気に失せた。代わりに脳が痺れるような感覚がして身体中が粟立つ。




浅緋色の髪の毛、その色を持つ人なんて私の周りには1人しか居ない。




「え、」




我に返って声を荒らげる男たちから発せられる言葉なんて耳に入ってこない。


地面に倒れる私の傍らで、動かないその頭。




「すば、る、さん…?」




ぐったりと力が抜けた体は冷たいコンクリートの上で身動ぎひとつ無い。
やがて赤黒い液体が彼の体の下から流れ出てきて、私の思考は完全に停止した。



「チッ、邪魔しやがって」



銃を持った男は、苛立った様子で昴さんに銃口を向けた。



「ッ、だめ!!」



考えるより先に体が動いていて、どうやって起き上がったのかとかはよく覚えていないが、ひとつ幸運だったのは足を縛られていなかったことだ。さっきまでは起き上がることさえままならなかった体幹が、まるで何かに操られるみたいに突き動かされて、銃を構える男に向かって体当たりをする。



「くそ!このアマ!!」


「ゔっ!!」


バランスを崩した男がよろけるのを見て、続けて体重をかけて男の妨害をしていると勢いつけて振った拳が項に落とされた。
目の前が強制的に真っ暗になったのを気合いで持ちこたえるが、一瞬で脳がぐらぐらと揺れて平衡感覚を失い、膝から崩れ落ちた。

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あまね(プロフ) - いっそのこと一妻多夫制度設けません???? (8月19日 18時) (レス) @page48 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - 面白いですね!続き楽しみにしてます!頑張って下さい!! (7月2日 12時) (レス) @page48 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!続きが気になりすぎます!! (2023年5月10日 5時) (レス) @page48 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
お話仕掛け人(プロフ) - ココナッツさん» お話楽しんでいただけて嬉しいです!感想もありがとうございます。これからの励みになります! (2023年5月4日 12時) (レス) id: 8b74387362 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 初コメ失礼します!ふるや違いで平凡とは言えない生活を送ることになった主人公ちゃん…物語の流れに引き込まれ一気読みしてきました笑 最高に大好きな物語です´`* これからも応援してます! (2023年4月28日 12時) (レス) @page42 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お話仕掛け人 | 作成日時:2022年8月10日 17時

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