ふるや違いです！5【名探偵コナン】

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ニュースキャスターの読み上げる言葉の後ろで流れる映像は、警察官に付き添われた女性が大きな荷物を持って百貨店から出てくる姿だった。

幾つものシャッターの光を浴びながら、真っ青な顔で俯くその人に、心当たりしかない。



俺は傍らに置いていたスマホを手に取ると、ボウヤの番号をタップする。
数回のコール音の後、彼のあどけない声が俺の名前を呼んだ。



「夜分にすまない」


「別に大丈夫だけど、どうしたの？」



どうしたのと聞かれて、ハッとする。なぜ俺はボウヤに電話をしたのだろう。自分でも不思議な位、ほとんど無意識の行動だった。



「あ、いや」


「そういえばっ、Aお姉さんは大丈夫？ニュース見たけど、大変だったみたいだね」


「…」


「昴さん？」



俺は一体何を求めて彼に電話したのだろう。いや、もしかしたら毛利家にお世話になっているかもしれないという可能性にかけたのかもしれないが、ボウヤの口ぶりではそういう訳でも無いみたいだ。



「…Aが、家を出た」


「え、？」


「帰ってきたら、荷物も何もかもが無くなっていて、一人で生きていくと書置きが…」


「Aお姉さん、大丈夫なんだよね！？」


「…わからない」



言葉にした途端、スっと胸の奥が冷えた感覚がした。ニュースになるほどの大きな立てこもり事件。拳銃の発砲もあったようだ。警備隊が突入したのなら、現場は混戦としていただろう。


以前の事件によるPTSDも癒えていない不安定な状況の中で、こんな恐ろしいことに巻き込まれ、しかも彼女は今…きっと独り。



帰ってきた時のままの格好だったのは幸いか。酒を入れたので運転はできないが、俺はすぐさま立ち上がると家を飛び出した。
電話の向こうからボウヤの宥める声が聞こえてきたが、それどころではなかった。




以前、ボウヤに“赤井さんはAお姉さんのこととなると冷静じゃなくなる”と指摘されたことがあるが、




本当にその通りだ。

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