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だが、そう思って、刹那に考えを改める。


黒の組織にノックだとばれて、死を利用して土壇場を乗り越えた男が近くにいて、彼女が本当に安心できるわけが無い。
あんな危険な計画に巻き込んで、極秘な情報を共有して、いついかなる時、黒の組織の目が彼女に向けられるかと警戒をしている必要がある。



そうなってしまったのは、やはり俺のミスだ。



時に冷酷に、時に残酷に。利用できるものは利用し、使えるものは最大限に活かす。犠牲が出ても、この先の数多くの命を生かすためと考えれば、しょうがないものだと割り切った。


そこに彼女を当てはめたくないと、思ってしまったのは俺の弱さだ。




その俺の弱さで彼女を傷つけた。



俺の仕事のために彼女を道具にした。



俺はまた、大切にしたいと思う人を犠牲にして…。何度彼女たちを命の危険に晒しただろう。

そして、彼女のためと言いながら、自分の中でケリをつけるために彼女を突き放した。




彼女はどんな傷を負っても周囲のものを気遣い、どんな死線をくぐっても、目を覚ませばいつも笑顔だった。

根が優しく、繊細そうに見えて意外とタフ。




____「証人保護プログラムを受けて欲しい」



本当に傷ついた顔を、泣き出しそうな顔をしたのはあの時が初めてだ。













連絡が途絶え、家に帰っても誰も居ない。

玄関脇には意味深に積まれた大きなダンボールが数個ある。


それを見た途端、脱ぎかけていた靴を履き直して、俺は大学院へと車を走らせた。この時の俺はダイニングに置かれたAからのメモに気づいていない。

胸に広がる嫌な予感に、咄嗟に体が動いたのだ。



赤信号に止まる度に彼女に電話をかける。


コールが続く度に胸騒ぎは確信に変わっていく。




今朝いつものように朝をすごしたAは、もうあの家に戻らないつもりなんだと、そう思い至る。





どうやら俺はショックを受けているらしい。


散々あの子に嘘をついていながら、自分が嘘をつかれることにはこんなに戸惑うなんて。




到着した大学院内を一応探すけれど、やはり求める姿は見つけられなかった。

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あまね(プロフ) - いっそのこと一妻多夫制度設けません???? (8月19日 18時) (レス) @page48 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - 面白いですね!続き楽しみにしてます!頑張って下さい!! (7月2日 12時) (レス) @page48 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!続きが気になりすぎます!! (2023年5月10日 5時) (レス) @page48 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
お話仕掛け人(プロフ) - ココナッツさん» お話楽しんでいただけて嬉しいです!感想もありがとうございます。これからの励みになります! (2023年5月4日 12時) (レス) id: 8b74387362 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 初コメ失礼します!ふるや違いで平凡とは言えない生活を送ることになった主人公ちゃん…物語の流れに引き込まれ一気読みしてきました笑 最高に大好きな物語です´`* これからも応援してます! (2023年4月28日 12時) (レス) @page42 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お話仕掛け人 | 作成日時:2022年8月10日 17時

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