番外編【看病】 ページ49
「 アズール、看病するなら俺じゃなくてジェイドの方が妥当だと思うけど?」
「 お前が原因だからお前にやらせてるのが分からないんですか?!全く……こっちの気も知らないで」
「 アズールだって俺の気持ちも知らないよな……ジェイドが持ってけって言った飯、美味そうだから食ってもいいか?」
Aの手にあるお盆を奪い取る。人間の姿になって風邪をひくなんて、僕としたことが本当にうっかりしていた。
幸いにも風邪薬はすぐに出来る。と先生から連絡は受けている、きっと明日には普通に学校に通える事だろう。
三日も四日も学校を休むだなんて事、絶対にしたくない。
「 なーアズール、飯食わねーの?」
「 今は空腹ではないので後で食べますよ」
「 じゃあ俺食っていい?腹減ったんだけど」
「 どうして病人である僕のご飯を元気なお前が食べるんですか嫌ですよ」
「 食べるところ見て薬飲んだの確認したら戻れってフロイドが言った」
その双子の言うことを素直に聞くとなると、大方デザートでも貰える約束でもしたに違いない。タダでこのワニが条件を飲むなんて
「 分かりました。食べればいいんでしょう?」
「 フーフーして、はいアーンて食べさせないと食べたことに含まれないってフロイドが言ってたぞ」
「 あの双子っ……」
ほくそ笑む二人の姿が思い浮かんで舌打ちをする。このワニにこれ以上変な知識を植え込むようなら僕にだって考えがある。
「 いいでしょう。お前のおまま事に付き合ってあげますよ」
こういうのは顔を見るから羞恥心が増すもの。そうだ、顔を見なければいい
すると、熱を冷ます息遣いが聞こえて、口を開いて待機ーーしたのに、何も来ない。片目を開いてチラリと様子を伺えば、スッカラカンになった容器が目に入る。
ーーまさか!
「 けふ、ごちそうさまでした」
洋服の裾で口元を拭うAはケロリとした表情でその場から立ち去ろうと腰を上げた。
「 悪いなアズール、俺空腹には耐えきれなくて食った。アズール腹減ってないみたいだったし」
「 ……ちょっとでも期待した僕がバカでした!もういいです、ジェイドを呼んできてください」
「 えー、ジェイドはこれから俺とフロイドと三人でおちゃか」
「 呼・ん・で・こ・い!!!」
「 ……だりー」
暫くして部屋に尋ねてきたジェイドが、ニコニコしながらどうでした。と聞いてきたけれど、おまえらの思惑通りにアイツが動かないってこと、忘れたんですか!
「 Aに看病なんてもう頼みません」
看病だってしてやらないからな。
153人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ