17 ページ19
「 リドル、おまえいつも甘い良い匂いがする……美味そう」
「 ぶ、き、気味が悪いから僕の背後で唾を飲み込まないでくれないか?!」
同じクラスのA・ルルフは年がら年中腹を空かせているオクタヴィネルの
とにかくマイペースで無表情。 怒った顔どころか笑った顔すら見た事がない。
アズールやフロイド達と幼馴染なこともあってか、周囲からは近寄り難い存在。 だれこれ構わず涎を垂らしているから命の危険を感じるんだろう。 僕もその一人だ。
そんな彼が、食堂で騒ぎの中心になっていることを知り、慌てて止めに入る。
「 リドル、コイツ、おまえのとこの後輩?」
「 ああ、そうだ……下ろしてやってくれないか」
普段は大人しい黄色の瞳がガラリと変わって金色に光っている。 ビリビリとした波長を放っていて、嫌な汗がじんわりと出てくる。
彼が掴みあげているのは、1年生の新入生だ。 その手の中には購買部で売られているパンが。
「 下ろさない理由はねーけど、下ろす理由は?」
「 そ、それは……僕が後輩と話をつける」
「 で? 」
取られたことに対しての怒りではないのか。 リドルは考える。 今にも彼は後輩を頭から丸呑みにしてしまいそうな勢いで、ただ、上手く宥められるスキルもない。
「 リドル寮長! こいつ、 頭やっべーすよ!」
「 死人に口なし……罪人にも、口はなくて結構だ」
「 うわっ?!」
掴んでいた手を離されて盛大に尻もちをついた彼は、冷ややかな視線で見下ろすAを睨みつけた。
「 いい度胸してんなおまえ。 人の物に手を出しておいて嘘つけるんだもんなぁ?」
俺は食べ物を横取りされる以外、食事の時間を削られるのも邪魔されるのも心底不快だ。 食ってやろうか、その常識知らずの頭ごと。
イライラする、腹が立つ。 感情のボルテージを上げてはならないと言われていたが、今回ばかりは見逃せアズール。
「 ーーー落ち着いてください、Aさん」
背後からジェイドの声がして、視界が遮られる。
そこで漸く、Aから漏れ出ていた殺気が静まった。
「 金魚ちゃん、そこで尻もち着いてるやつ連れて早く食堂から出てってくんね?」
「 ……あ、ああ。 済まない」
フロイドに言われた通り、座り込んでいた後輩を立たせると早急に食堂を後にする。 面倒くさい貸しを一つ作ってしまったが、今回ばかりは救われたとため息を零した。
153人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ