scene 3ー2 ページ8
お互いの報告をしていたら静かな足音が聞こえてきて、再び談話室のドアが開いた。
「遅かったな高遠」
「おかえり丞さん」
「ただいま、左京さんは早かったですね」
紬さんの安否を確認しに実家に戻っていた丞さんが帰ってきた。
しかし、結果は良くなかったのか、いつもより覇気がないように見える。
丞さんは空いているソファーに座った。
いつもは明るい雰囲気の談話室が、重い空気に押し潰されそうだった。
丞さんが「そっちはどうだったんですか」と気を利かせて話を切り出してくれた。
きっと、自分と同じような雰囲気を出しているだろう俺たちを心配してくれたんだと思う。
「ダメです」
「どいつに聞いても『そんな子はいない』と結果は一緒だったし、何よりあの場所にいることが耐えらんなかった…」
「…そうでしたか」
また重い空気押しつぶされそうになるのを防ぐために、俺は丞さんに話を振った。
「紬さんの家はどうだったんすか?」
「…紬は『今年に入ってから海外に旅行に行ってる』と言われた」
「…はぁ?」
丞さんの回答は、俺の混乱している頭に追い討ちをかけるような意外なものだった。
左京さんは焦っているようで、さっきの俺の様に自然に口が動いていた。
「それはどういうことだ?」
「俺にもなんが何だか分からないんですけど、兄貴に聞いてもそう答えが帰ってくるんです」
この不思議な現象に俺ら3人は戸惑い、しばらくの間、沈黙が続いた…
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時