scene 2-2 ページ6
≪莇side≫
_17:40
俺たちはカフェから出て、寮への帰路についていた。
さっきカフェで食べたばかりなのに、話の内容は晩ご飯についてで、今日の担当は綴さんだと思い出すと、また太一さんの腹の虫が鳴いた。
みんなで臣さんのプロ級の料理もいいけど、綴さんの大皿料理も好きだという話をしていると、商店街の路地のほうに微かな光を見つけた。
太一さんも同じタイミング見つけたようで、紬さんの呼びかけも気に留めずに、光のほうに駆け出していた。
商店街の人が少なかったので俺たちはすぐに太一さんに追いついた。
光があった近くでしゃがんでいる太一さんに紬さんが声を掛ける。
「太一君大丈夫?」
「大丈夫っスけど…これって」
太一さんの手に会ったのは噂の本によく似たものだった。
太一さんは急に本を開き、『───』と何かを呟いた。
自分でもその行動に驚きの表情を浮かべていた。
「あーちゃん、紬さん、どうしよう。」
「太一君、どうしたの?」
「俺、文が読めちゃった…」
太一さんがそう言った瞬間、本からさっき見たような光がこぼれ始めていた。
とっさに身の危険を感じ、その光から逃げようとしたが、時すでに遅し。
光はたちまち俺たちを飲み込んでしまった。
その時に黒い蝶と緑の蝶が2羽見えたのは気のせいだったのだろうか…
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時