scene 1ー 3 ページ4
誉さんに共感していると、再び談話室のドアが空いた。
「おやー?皆さんこんな時間に何をしているんですか?」
「支配人丁度いいところに来たな」
丁度いいところにというキーワードを聞いた支配人は勝手な妄想を広げていた。
「丁度いいということは、もしかして遂に支配人室を作ろうということですか?」
「なわけないでしょ。そもそもあの銭ゲバヤクザの許可が下りるわけない。」
幸くんにバッサリと切られた支配人は大げさに落ち込んでいた。
少し悪いとは思ったが、私は支配人にこの街の七不思議について聞いた。
「この街の七不思議ですか?うーん、なかったと思いますよ?」
太一くんは、この結果を楽しみにしていたようで、がっくりと項垂れていた。
ここまで来て、様々な種類がある噂についてまとめる作業をしていた。
・アンティーク調の見た目
・表紙に小窓
・天鵞絨町の中でしか発見されない
・本を見つけたものは本に惹かれていく
・本の文を読んでしまうと異世界に飛ばされてしまう
・異世界から戻ってきた人は居ない
「本に惹かれたらさ、中の文を読むのって絶対なんじゃない?」
「確かにそうだな」
「でも、そうしたら異世界から帰ってきた人が居ないのに表紙とかの詳しい情報が出てくるわけ?」
幸の問いに至さんは「俺にはわかんないよ。ギブギブ」と言って談話室を後にした、ドアを出る直前
「カミナリに気を付けてね」
と言い残してでていった。
私たちは何のことかいまいちわからずに、それぞれこの噂について考え込んでいた。
すると、いきなり勢い良くドアが開いた。
「お前ら!こんな時間まで何をしてんだ!早く寝ろ!」
その犯人は鬼のような形相の左京さんだった。
談話室にいたメンバーはそれぞれ自分の部屋に帰っていった。
しかし、九門くんだけはは左京さんに捕まり、「兵頭弟!お前は腕をケガしているんだからもっと早く寝なければいけないんだぞ」と追加のカミナリを頂戴していた。
私もお咎めがなかったわけではなく、左京さんの説教を食らった。
そして、左京さんも自室に戻ったその日の寮の中はいつも以上に静かだった。
まるで、嵐の前の静けさのようだ。
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時