scene6ー2 ページ14
《いづみside続き》
そんな2人のやり取りの中、三角くんが話を切り出した。
「あのね、てんまとむく見てない?」
「私達は見てないよ…ね?」
「はい、見てないっす」
「マジかー」
今日、天馬くんは朝一から撮影のはずで、椋くんは密さんと一緒に散歩に行くとみんなの掲示板に書いてあったはずだ。
「天馬と椋がどうかしたんっすか?」
「テンテンは夕方頃には帰ってくるって言ってたし、むっくんはひそひそと散歩に行っただけだから、そろそろ帰ってきてもいい時間だと思ったんだけど…」
「分からないっすね…」
一成くんは、紬さん達のこともあるから心配してい
るのだろう。
これ以上心配かけるのもいけないので「天馬くんは撮影が延びている」や「椋くんは密さんも一緒だから大丈夫」と声をかけていた。
なんの根拠もあるはずがないのに…
「そうかもー」
「うん、もうちょっと待ってみる!監督ちゃん、つづるんありがとー」
いつもの様に、廊下を駆け戻って行く三角くん。
その後を追う一成くんは、やはり少し不安そうな顔で感謝を述べてバルコニーを後にした。
「あの2人、嵐のように去っていきましたね…」
綴くんは固まっている私の様子を見て、声を掛けてくれた。
「そうだね…みんなちゃんと帰ってくるかな?」
「帰ってくることを祈ってましょう」
「うん…」
2人が足早に去ってしばらくたった後、少し空気が重くなったバルコニーのドアが控えめに開いた。
「監督、綴、晩ご飯みんな食べ終わっちゃったぞ?
もう少しで来るか?」
「もうそんな時間?今行くね!!」
「伏見さんすみません、ありがとうございます」
「おう、温めておくな」
なかなか戻ってこない私達を心配した臣くんが呼びにきてくれた。
そうして天馬くん、椋くん密さんの帰宅を待たずして、私達は遅めの晩ご飯を食べた。
普段から全員揃わない時があるものの、今日の食卓はそれと違う寂しさがあった…
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時