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3月13日 日曜日 2:23 〈談話室〉
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《いづみside》
その日、私たちは久しぶりに椋くん主催のお話会を開催していた。
いつもならば左京さんが早く寝ろと言いに来る時間だが、今日は仕事で帰りが遅いことや、金曜日だということを良いことに高校生組と夜更かしをしていた。
お話会の内容は主に漫画の話が多かったが、今日はちょっと変わったお話をしていた。
「…そして、本を開き文を読んでしまったら、もう周りには異世界の風景が広がっている。という噂です。」
椋くんの話す噂話に、「この間教えて貰った」や「俺っちが聞いたのは少し違うパターンだったっす!」とそれぞれ反応している。
しかし、みんな一様にこの噂話を知っているようだった。
すると、突然談話室のドアが開いた。
「君たち。何か面白そうな話をしているね。」
「有栖川、そんなにうるさくしては古市に怒られるぞ。」
ガイさんにそう指摘され、恐る恐る後ろを見る誉さんに幸くんが左京さんの帰りが遅いことを伝えると、安心したように肩をおろし、談話室に入って来た。
「誉さんとガイさんお二人揃ってどうしたんですか?」
「入浴から戻ってきたのだよ。」
「七尾、今は秋組の入浴の時間だが行かなくていいのか?」
「俺っちは、さっきむっちゃん達と入ったから大丈夫っす!」
このやり取りに、昔の習慣はまだ守られているんだと思い感心していると、九門くんが話を切り出した。
「ねぇねぇ、椋。さっきの話に続きは無いの?」
「うーん、続き…何かあったかな…」
九門くんの問いかけに椋くんが頑張って思い出していたその時、突然に背後から低い声が聞こえてきた。
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時