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32.倒れる前に ページ32

今日は朝から頭痛が酷かった。
でも事務所で打ち合わせはあるし、偏頭痛はいつもの事だから平気だろうと外に出たのが間違いだった。これはいつもの偏頭痛なんかじゃない、多分風邪。熱もある気がする。


「A?聞いてる?」

「あ、ごめん、聞いてない」

「大丈夫かって。顔死んでるよ」

「れいなはすごいねぇ、なんでも分かっちゃうんだ」

「そんな青白かったら誰でもわかるって」


日頃から健康的な生活を送っていない私は、そこそこ体調を崩しやすかった。熱は出さないけど、貧血で倒れたり頭痛が酷かったり。

そう、普段は熱なんて出ない。それもあって尚更油断した。段々呼吸は浅くなるし、視界もぼやけてくる。さすがにやばいかも。


「ねぇ座った方がいいって。しゃがめる?」

「この先のソファに、、あ、...」


とうに限界だったらしい。倒れた感覚も床にぶつかる感覚も無いまま、意識を手放した。



.

クロノワの打ち合わせ終わりに、今日は何か食べて帰ろうと、葛葉と2人で廊下を歩いていた。


「あれ、柊さんとがせさんじゃね?」

「ほんとだ。葛葉よく気付いたね」

「まぁ。何してんだあんな所で、迷ってんのかぁ?w」

「2人とも方向音痴だもんねw」


それならそれで案内しよう、なんて思って近付くにつれて、何かおかしい空気を察知した。


「え、柊さんなんかやばそう?」

「うん。ちょっと行ってくる」

「いってら〜」


足早に近付くと、Aがフラフラになりながら歩き出そうとしていた。

「あ...」

立っているAから全身の力が抜けていくのが見てわかり、間に合え、と手を伸ばす。


「っぶな、」


何とか倒れる前に間に合った。よかった、頭とか打ったら大変だもんね。


「叶さん...ありがとうございます。全然反応できなくて、自分じゃ支えらんなかった」

「大丈夫だよ。今から打ち合わせ?」

「はい、30分後くらいから。今日は別で来たんですけど、会った時にはフラフラで、」

「そりゃフラフラにもなるよ、めちゃくちゃ熱いもん。
Aの事近くのソファまで運ぶから、がせちゃんはマネージャーに話してきてくれる?」

「柊の事、お願いします。」


走っていく後ろ姿を見て、自分も動こうとお姫様抱っこをする。いや軽過ぎない?


「叶ぇ?どした」

「Aが倒れた。葛葉ごめん、ご飯また今度でもいい?」

「しゃーねぇ、奢りな!」

「わかったよwありがとう」


理解のある相棒でよかった、追加でデザートも奢ってあげよう。

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作者名:茉白 | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/EdgwYukiCDTss7  
作成日時:2022年2月9日 1時

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