16.その心の内は ページ16
今日は暇な日。夜にAの家に押しかけて飲む予定を勝手に立てて再度布団を被るも、生活リズムが狂ってない自分はもうしっかり目が覚めてしまった。
どうせあのニートは家にいるし、起きてなくても合鍵があるから問題ない。先に柊家に居ようと思い、軽く準備をして家を出た。
何か買っていこうと、柊家を少し過ぎた所のコンビニに入る...と、何か見覚えのある男がいた。
「...こんなとこで何してんすか、叶さん」
「あれ?がせちゃん久しぶり〜、何してんの?」
ニコニコと手を振り近付いてきた男は、最近Aと何かと距離の近い先輩、叶さん。
コラボこそしていないものの、裏ではかなり遊んでいるのを知っている。Aを呼び出しても最近秒で来なくなったのは、大方叶さんとゲームでもしているからだろう。
「Aん家行くのに何か買ってこうかなって」
「ふーん、え、約束してた?」
「暇だから押しかけに行くだけですね」
「僕もAと遊ぼうと思ってたんだけど返信来なくて。だから取り敢えず来ちゃった」
取り敢えず来たって何だ、人の事言えないけど。
鍵も無いのに、まさか外で待ってるつもりだった、?
「鍵持ってるし、一緒に行きます?」
「え、いいの?ありがとう〜」
「どうせ連絡来るまで待ってたんでしょ?」
「まぁね」
この人は暇な時間を作るのは嫌いって聞いたけどな、どう考えてもこの待ち時間はロス。どうしてそんなに柊に時間を使うんだろう。
兎も角いつまでもここに居ても仕方ない、話は柊家で聞こう。
「仲良いんだね」
「まぁ、それはお互い様では?」
「がせちゃんから見ても仲良く見える?」
「どうしてそんなに固執するのかなって思う位には」
「なんか棘あるなぁ」
「相方取られたくないんでね」
「アッキーナは良いの?」
「良くはないけど...Aが楽しそうならそれでいい」
「ふぅん、Aの事大好きじゃん」
...そんな事、誰かに言われなくても自分が1番分かってるんだよ。
「それこそ、お互い様じゃないんですか」
「そうかもね」
軽く睨んだ先には、見た事ない位優しく微笑んだ叶さんがいた。あぁ、やっぱりそうか。
話しているうちに柊家に着いた。慣れた手つきで鍵を開け、中に入る。
「どーぞ、あいつまだ寝てるんでお静かに。
...聞きたい事あるなら、なんでも教えますよ」
取られてしまったら、優先順位が下がるのは分かっているのに。
何故かなんとなく、この人ならいいかなぁなんて思ってしまう自分がいた。
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作者名:茉白 | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/EdgwYukiCDTss7
作成日時:2022年2月9日 1時