Lovers... (ページ4)

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「ただいま！」

威勢のいい声と共に
バタン！と勢いよく扉が閉まる

あ、怒ってんな

って声でわかる。

「おかえり。お疲れ」

「ただいま」

オレがいつも通りに出迎えれば
案の定尖ってる唇

顔はちょー不機嫌だけど、ちゃんと挨拶はすんのね笑

「ちゅーする？」

「する！」

「んふ、はいおいで」

「ん」

短いキスをしたら、君がちょっと穏やかになった。

ふふ、って空気が抜けたみたいな笑い方で

「飯は？」

「食べてきた！…って言いたいとこだけど
食べるタイミング逃してまだなの」

「んなことだろーと思って作ってありますよ」

「うそー！ありがと！」

飯がいるとかいらないとか
連絡くれんのは10回に1回

だから一応毎回作っとく

余りゃオレが食うし、Aが食うなら、オレは食わない

「…美味しい」

「そりゃよかった」

この人なに食っても
おいしいって言うからさ

ほんとかよって思うんだけどね

でも毎回、幸せそうな顔で食ってくれるから

作りがいがあってなによりです。

だけどいつもならもっと
お前はリポーターか？ってくらい食リポしてくんのに今日はそれがなくて

おかしいなって思いながらも
しばらく幸せそうなアホヅラ(って言ったら怒るから黙っとく)を眺めてると

ふと、Aが呟いた。

「カズは何もかも完璧だね」

「、急になによ笑」

「…なんでもなーい！」

そう言って立ち上がると、寝室に消えていく

化粧を落として部屋着に着替えて

リビングのソファーに座る君

オレはラグに寝そべって少し高い君を見上げる

「…なんかあった？」

「なんで？」

「怒ってたでしょ。さっき」

「…バレてた？」

「バレバレよ。ほら言ってみ」

「……うん」

別に隣同士座って慰めるわけじゃない

抱き合ったりキスしたりするわけでもない

ただ頷いて、話を聞くだけ。

それでも君は、話し終えるとスッキリした顔で

カズありがとー！なんて笑うから

「頷いてるだけだけど？笑」

「それでもありがと」

「お役に立ててなによりですよ」

「あー仕事行きたくない」

「1日くらい休めばいいじゃん」

「そうしたいのは山々なんだけどねぇ…」

言いながらチラリとオレを見る

「…スミマセンデシタ」

「ふふ。わかればよろしい」

その笑顔が見られるんなら
オレはそれだけで、ここにいる意味があるわけで。

たとえ君が
オレじゃない奴に惚れてたとしても…ね。