19:問口 ページ19
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嘘だ。こんなの、嘘だ。
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一歩また一歩と後ずさり、彼らに背を向けて出口へと足を急がせる。
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嘘だ。嘘だ。
なんで。どうして。
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聞きたいことはたくさんあるのに、聞かなきゃいけないことはたくさんあるのに
その場にいるのが怖い私は逃げる。
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どうしてーーー…
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「…っと、申し訳ありません」
「…ごめんなさい、っ」
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「あれ……仙道さん？」
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そんな慌てた心を持った私と、ホテルを出たところでぶつかりそうになったのは
「二宮さん…」
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和也「ご無沙汰しております。新社長にご用ですか？」
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私の左手に持たれた紙袋を見ながら問いかけた、このお土産の相手。
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和也「仙道さん？」
「…っ、」
和也「お呼びしま…」
「大、丈夫です…」
和也「…けど、」
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「大丈夫ですから！！」
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持っていたお土産を二宮さんの胸に押し付けるようにして渡し、ホテルが見えなくなるように角を曲がる。
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智くんにバレてませんように、とか
二宮さんが余計なことを言いませんように、とか
普通なら他に考えることはたくさんあるはずなのに、
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私の頭が思い浮かべるのはあなたの言葉ばかりだ。
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作者名：みい | 作成日時：2016年12月3日 21時
