3話・個性 ページ5
クラス全員の自己紹介が終わり、時間的にもちょうど、入学式の準備が終わる頃合となった。
普通、総合的な時間というのは式の後にやるものだと思うが、どうやら諸事情により開始時間が遅れているらしい。
噂によると1クラス、入学式への参加が確認されていないようで、クラスまるまるどこかに行ってしまったとのこと。
さすが雄英、ありえないことが初日から起こる学校である。
貴(まぁそれもそうだけれど、もう一つ気になること)
私はチラリと背後に視線を向けた。つまらなさそうな顔をして、長身の生徒――心操くんがぼんやりと頬杖をしている。
誰とも目を合わそうとしないその様子も、どこか敵意すら感じる他人を寄せ付けない空気も、身にまとっているそれら全てが気になってしまった。
貴(警戒、不安、怯え、嫌悪…新学期には似つかわしくない感情ばかりだなぁ)
“個性”で読み取ってしまった彼の感情は、違和感を感じるものばかりだ。どうしてそんなに他人と距離を起きたがるのか、余計な好奇心が彼への注目を途切れさせなかった。
それに、“個性”を名乗らなかったのも気になる。勿体ぶるだけの凄い“個性”を持っているのならぜひお目にかかりたい。
オタク根性がこの時ばかりは自制心を上回ってしまい、我を取り戻した頃には
貴「はじめまして、心操くん…だったよね？」
彼に声をかけてしまっていた。
じろりと睨まれる。う、そりゃそうか…。今までの感情を考えてみれば当然の反応である。
貴「えっと、その」
心「……なに」
訝しむような、低い声。その迫力に少しだけ気圧されてしまい、一瞬言葉に詰まった。
貴「いや、あはは…その、自己紹介の時“個性”言わなかったから気になって」
私は馬鹿正直だ。ずけずけと無神経に言葉を重ねていく。
心操くんは私から視線を逸らして、小さくため息をついた。どうやら言う気はないようだ。
貴「その、別にあなたのこと不審に思ってるとかそんなんじゃ」
心『話しかけるな』
その一言には、不思議な響きがあった。有無を言わさず誰かを従えさせるような、そんな冷たい強制力。
頭に一瞬、深い霧がかかったような気がして、それが晴れると、彼は私の目の前から消えていた。
貴「…は？」
なんだ今の。テレポートじゃあるまいし、まさか彼の“個性”…？
もし今のが他人に自分の指示を強制するような“個性”だとするならば…。
貴「それって、激レア“個性”じゃん…！」
思わぬ掘り出し物に、私は目を輝かせてしまった。
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づけしば(プロフ) - 初恋とリンゴさん» コメントありがとうございます！心操くんほんといいキャラしてますよね…！何とか幸せにしてあげたいです (2017年8月2日 8時) (
レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
初恋とリンゴ(プロフ) - 作品面白いです(*^^*)心操君好きです。幸せになって欲しい(*´∀｀) (2017年7月31日 7時) (レス) id: 1696434808 (このIDを非表示/違反報告)
づけしば(プロフ) - 菜血さん» コメントありがとうございます！しばらく更新忘れててごめんなさい；切ない心操くん大好きなのでそう言っていただけると嬉しいです。更新頑張ります！ (2017年7月10日 16時) (レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
菜血(プロフ) - 初めまして。描写が綺麗でとても好きです。心操くん切ないですね、。更新頑張ってください！応援してます！ (2017年7月10日 6時) (レス) id: b16163533c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：づけしば | 作成日時：2017年6月7日 13時
