25話・競走 ページ29
開始合図と共に、生徒達はスタートゲート目掛けて一斉に走り出す。
始まりが肝心。初手に先頭を奪うため、誰もが前進することに意識を向けていた。
が、しかし。
『ってスタートゲート狭すぎだろ！！』
そう。毎年恒例、通称「狭き門」。これこそが最初の難関であり、既に振るい。体育祭の録画を飽きもせず何年も何年も拝み続けていた私は、こうなることをちゃんと想定していたのだ。
貴「ね！言った通りでしょ心操ぐおおう！！」
心「ちょっ、何で埋もれてんだよお前！」
ふふふ…予測はできても肝心の対策は出来ないのだよ。この人混みを掻い潜るだけのポテンシャルも個性も私には無いぬおおお…！！
心「自慢げに言うな！手を伸ばせ！」
貴「うご！？」
半ば戦意喪失していた私の腕を、心操くんはぐいと引っ張り、人混みの上に避難させてくれた。…人混みの上？
貴「うわっ！なんでこの人達、微動だにしないの！？何、踏まれることへ抵抗が無いっていうか…そういう趣向の人！？」
心「馬鹿、違うよ。悪いけど洗脳させてもらった。『人混みを抜ける足場になってくれ』って」
開始直前、私の言葉を聞いた心操くんは、この人混みを避けるためにあらかじめ数人を洗脳しておいたらしい。うぅむ、やはり対人競技において強力すぎるな…洗脳って。
貴「じゃあこの人達には悪いけど、このままゴールまで運んでいって貰おう！」
心「そうしたいんだけど、俺の個性は操った対象に一定以上の衝撃が加わると解除されちゃうから。この混雑でどこまで持つかは正直分からないよ」
貴「あ〜…やっぱり万能とはいかないか」
まぁ、そう上手くいかれても雄英体育祭の凄みに欠ける。私は少しだけ不安げな顔をする心操くんの肩をぽんっと叩き、「だからって止まっちゃいられないよ」と喝を入れた。
心「あぁ、分かってる…！」
貴「よーし、そうこなくっちゃ…って、寒っ！」
心「う…」
前方から唯ならぬ冷気を感じ、二人して思わず身震いをした。目を凝らすと、先頭から地面にかけて、氷の道が作られている。これに足を取られて動けなくなった人達が出てきたため、ゲートの混雑は少しずつ解消されていったが、一つ問題が。
貴「下の人達の足が凍ってる！何この個性！凄い！！待ってメモしたい！写メ撮りたい待って凄いえっ何これヤバイ！！」
心「感心してる場合か！別の人間を操る！」
キャッキャとはしゃぐ私を引きずり下ろし、心操くんは手頃な人を探し始めた。
まだ、競技は始まったばかりである。
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づけしば(プロフ) - 初恋とリンゴさん» コメントありがとうございます！心操くんほんといいキャラしてますよね…！何とか幸せにしてあげたいです (2017年8月2日 8時) (
レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
初恋とリンゴ(プロフ) - 作品面白いです(*^^*)心操君好きです。幸せになって欲しい(*´∀｀) (2017年7月31日 7時) (レス) id: 1696434808 (このIDを非表示/違反報告)
づけしば(プロフ) - 菜血さん» コメントありがとうございます！しばらく更新忘れててごめんなさい；切ない心操くん大好きなのでそう言っていただけると嬉しいです。更新頑張ります！ (2017年7月10日 16時) (レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
菜血(プロフ) - 初めまして。描写が綺麗でとても好きです。心操くん切ないですね、。更新頑張ってください！応援してます！ (2017年7月10日 6時) (レス) id: b16163533c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：づけしば | 作成日時：2017年6月7日 13時
