1話・興味 ページ3
貴「すぅ…はぁ…すぅぅ…」
プロヒーローや著名人が行き交う学園の空気を吸い尽くす。それが今の私に課せられた使命。
傍から見れば緊張を解そうと深呼吸しているようにしか見えないだろう。いいカモフラージュだ。
普通科C組、私の配属されたクラスである。
自分の席に座り込んだ私は、オタク気質な使命を全うしつつ、教室内の雰囲気を観察していた。
なんというか、普通だ。
まぁいくら雄英高校と言っても、特別なのはヒーロー科くらいなものだろう。
ここ、普通科はヒーロー科に落ちたものや、私のように端からそっちに興味の無いもの、進学目当てで来るものばかりだ。
あまり目立った人物がいないのも当然といえば当然だった。
貴(新しいプロヒーローになる可能性を秘めた、ヒーローの卵たち…それも見ておきたかったんだけど、普通科がヒーロー科の周りをウロウロするのもおかしいしなぁ)
きっと倍率300をくぐり抜けた逸材たちは、強力であったり、珍しかったり、優秀であったり、そんな“個性”を持っているのだろう。
自称ヒーローオタクである私としては、未来のプロヒーローを拝んでおきたかったが、普通科という身分から自重する。
まぁ、同じ空間にいれるだけでも感謝しよう。
多少の悔しさをそう思うことにして、再び学園の空気を体内に取り込む作業を始めた私だったが、すぐ背後で聞こえた椅子の音に思わず集中を途切らす。
振り返ると、空だったはずの席へ、いつの間にか男子生徒が座っていた。
ぼさぼさ、というにはやけに質感のいい紫髪と、酷い目の下のクマ、周りより頭一つ大きい高身長。地味が集まる普通科の中で、なんとなくその存在は目を引いた。
なにより、ただ者じゃないような雰囲気がその生徒にはあったのだ。
貴(ん…？)
ふと、口の中にピリッとした刺激が走った。コショウを思わず噛んでしまった時のような「辛味」だ。
貴(警戒…？)
自分の“個性”がうっかり発動されてしまった申し訳なさより、一体誰のものだろうという疑問が先立った。
いや、考えるまでもない。
すぐ後ろにいる、彼からだ。
私がつい先程まで凝視していたのは彼しかいない。
色々疑念は浮かんだが、初対面の相手にずけずけとあれやこれやを問いただせるほどの図太さなど持っていない私は、胸中モヤモヤさせながら担任の到着を待った。
終始後ろを気にしつつ、だった。
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づけしば(プロフ) - 初恋とリンゴさん» コメントありがとうございます！心操くんほんといいキャラしてますよね…！何とか幸せにしてあげたいです (2017年8月2日 8時) (
レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
初恋とリンゴ(プロフ) - 作品面白いです(*^^*)心操君好きです。幸せになって欲しい(*´∀｀) (2017年7月31日 7時) (レス) id: 1696434808 (このIDを非表示/違反報告)
づけしば(プロフ) - 菜血さん» コメントありがとうございます！しばらく更新忘れててごめんなさい；切ない心操くん大好きなのでそう言っていただけると嬉しいです。更新頑張ります！ (2017年7月10日 16時) (レス) id: a5f73b5f12 (このIDを非表示/違反報告)
菜血(プロフ) - 初めまして。描写が綺麗でとても好きです。心操くん切ないですね、。更新頑張ってください！応援してます！ (2017年7月10日 6時) (レス) id: b16163533c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：づけしば | 作成日時：2017年6月7日 13時
