魔法 ページ17
シーンと静まり返る病室。
治「その、今更なんやけど…」
最初に口を開いたのは治くんだった。
治「前保健室で言ったこと覚えてるか?」
『うん。覚えてるよ』
侑と別れて私は治くんに告白された。
もう完全に侑のことは諦めようと思った。
治くんと一緒にいるといつも安心して泣いてばかりだった。
でも心のどかで侑のことが諦めることができなかった。
『治くんから告白してくれて嬉しかったけど…やっぱり私は侑がどうしても好きで…治くんとは友達でいたい』
治くんは今どんな顔してるのかな?悲しい顔?
治「そう言うやろうなって分かっとったわ。俺はAが思うほど弱くはないで。だから俺が悲しんでるとか余計なこと考えんでええ。安心せぇ」
とポンポンと頭を撫でられた。
本当に、これだけで安心してしまう。魔法みたい。
治「あ、でもまた悩みとかできたら話してええか?」
『うん。いつでも話して!…これからもよろしくね』
治「おう。変らずよろしくな」
と話終わった途端
侑「A〜!俺もAが好きやで〜!ってかサム!俺のおらんところで告るとかええ度胸やなぁ?」
本日2回目。いきなり侑が部屋に入って来た。
…まさか私たちの話聞いてた?
治「あぁ!?俺の自由や!」
『あ、あの…他の患者さんに迷惑だよ…』
侑「何やて!?これは罰としてお前が大切に取っといたプリンには犠牲になってもらわなあかんな!」
ふたりのやり取りを見ていると
『ふふっ笑』
侑「?どうしたんや?」
『何か2人のやり取り見てたらおかしくて笑』
今まで寂しくて、不安で暗く感じた病室が明るく賑やかになった。
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作者名:うぃるうぃる | 作成日時:2022年8月25日 18時